2008年03月16日

書道講座

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今回は二玄社『書道講座』を紹介したいと思います。

この本については以前にも一言だけ触れた事がありました。

『書道講座』という名前から、よくある初心者向けの技法書の類かと思うかもしれませんが、その内容たるや極めて高い水準を誇り、一般的な技法書とは明らかに一線を画しています。

執筆陣も、書壇が所謂讀賣系と毎日系とに分裂して久しい今となっては信じられない顔ぶれです。

もっとも今となってはその殆んどが鬼籍に名を連ねてしまいましたが。


楷、行、草、かな、篆、篆刻、隷と、各編毎に一冊になっていて、全7巻です。

当初は第8巻として前衛書編も企画されていたようですが、結局未刊のままになってしまったようです。

その辺りの経緯、どなたか御存知の方がいらっしゃいましたら、是非教えていただきたいのですが、趣味の悪い野次馬ですかね(笑)


西川寧氏編ですから、一筋縄ではいかないのも納得ですが、それにしてもこの本、恐らく初心者の方が読んでも殆んどの部分が

「?????」

だと思います。

それなのに何故ここで紹介するのでしょうか。


この本にはお手軽でインスタントな

「書道のコツ」

など出てきませんし、

「字が上手になる秘訣」

が出てくるわけでもありません。


しかしこの『書道講座』、全てを通して読んでいくと、そこに

「書とはどういうものなのか」

「書を学ぶとはどういうことなのか」

といった言葉にするのがなかなか難しい問題に対する答が、ある種の世界観として立ち現れてくるからなのです。


例えば草書編では『書譜』についての解説がありますが、初学者はもちろんの事、随分と書を学んできたつもりの人ですら、あのような捉え方が出来る人などそうそういないでしょう。

そこにあるのは極めて冷静で分析的でありながらも、それ以上に書に対する深い愛情を持った視点です。(具体的な内容については実際に読んでみて下さい)

臨書の姿勢としてこれ以上の指針は無いでしょう。


或いは篆刻編では、『石鼓文』ついての考察がありますが、これを読むと、「字を調べる」という作業が本当はどういうものなのかがよく分かります。

そこには「字の調べ方」についての言及など全く有りません。

しかし、「字を調べるとはこういうものなのだ」ということを、無言のうちに示しているのです。


この本はざっと目を通すだけのような読み方ではなく、事ある度に繰り返し読んで欲しいと思います。

何故なら、この本は読む度に、読む側のその時点での水準によって、毎回違う箇所が自分に響いてくるからです。

前回読んだ時には何とも思わなかったような箇所に

「成程」

と大きく頷かされたりするのです。


私もこれまでに一体どれ程繰り返し読んできたのか分かりませんが、その度に自分にとっての新しい発見があります。

つい先日も、今回の記事を書くにあたり読み返してみたのですが、先程の『石鼓文』についての文中に、楊沂孫と大篆についてのほんの2〜3行のくだりが出てきます。

それを読んだ途端、

「成程っ」

と思わず大きく頷かされました。

当然そのくだりは今までにも何度も何度も読んでいたはずなのにです。

私自身がようやくその2〜3行に対して、本当の意味で反応出来るような水準になったからなのだと思います。

ですから私はこの本を、自分が成長してきたかどうかのバロメーターにしています。


古い本なので一般の書店の店頭では見つからないかもしれませんし、ネットでも同様かもしれませんが、書道関連の書籍を扱っている書道用品店ならまだ在庫が眠っているかもしれません。

因みに今回二玄社のHPも確認しましたが、篆刻編以外は在庫切れになっていました。(ホントに売る気が有るのか、二玄社よ!)

自分の興味のある巻だけでも構いませんし、気合を入れて一気に全巻揃えてもそれ程高価な本ではありませんし、一生ものと考えれば絶対に損はしないと思います。(二玄社のHPでは現在の定価は各巻1,890円となっていました。)


ということで、今回は二玄社『書道講座』を紹介しました。

それではまた。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

「何だか下手な事を書いたら説教されそう・・・」

という方、また、通信添削について御質問のある方は、下記のアドレスまで御意見御質問をお送り下さい。

誹謗中傷を目的としたような常識に反するもの以外、お返事させていただきます。

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。

ラベル:書道
posted by 華亭 at 01:34| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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