2008年02月08日

寸松庵色紙

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今回は「臨書のすすめ 仮名」で『寸松庵色紙』です。

テキストは二玄社『日本名筆選』を挙げておきます。


以前『高野切第一種』の回で

「初学者の場合、仮名はこれをやれば充分」

といったような内容の話を少ししましたが、実際にはなかなかそうもいきません(苦笑)


仮名の場合、所謂「散らし書き」と呼ばれる技術がありますが、『高野切』や『粘葉本和漢朗詠集』には散らし書きが含まれていませんから、それらだけを臨書し続けても散らし書きについて学ぶ事が出来ないからです。


あくまで私見ですが、仮名の線や単体の字形、更には行の通し方や流し方といった、いわば自らの根底に準備しておくべき基本的要素については、『高野切』や『粘葉本和漢朗詠集』のように、散らし書きが無いものの方が適していると思います。

基本的要素をある程度身に付ける前から散らし書きをしようとすると、どうしても散らし方にばかり気が取られてしまい、基本的要素についての意識がおろそかになってしまいがちになるからです。


「先ずは散らさずとも見るに耐え得るだけのものが書けるようになる。」


という事を先決とし、その為の要素をある程度(どの程度か?というのが問題なのでしょうが、それについては割愛します。)身に付けおくという方が、結果として、散らし書きを学ぶ際にも効率良く学ぶ事に繋がると思います。


さて、この『寸松庵色紙』に限らず、散らし書きを学ぶ際に気を付けなければならない点があります。

それは、紙面全体に目を向ける、という点です。

これは

「散らし書きされていないものなら紙面全体は気にしなくても良い」

という意味ではありませんが、散らしていないものよりも遥かに高い意識を持っておかなければいけません。


その上で紙面全体がどのように構成されているのかを見るわけですが、その時、文字の書いてある部分は勿論の事、何も書いてない余白の部分に注意しましょう。

散らし書きとは換言すれば、余白、則ち何も無い空間をどのように形作るのか、という工夫です。

極端な言い方になりますが、文字の部分は余白の部分を形作る為の脇役である、というくらいの意識を持って丁度良いと思って下さい。


この事自体は何も散らし書きに限った話ではなく、たった一文字書く場合でも全く同じ話で、以前このブログでも少し触れた事がありました。(『書譜』の回参照)

散らし書きの場合、それが紙面全体で成されていると考えると良いかもしれません。

写真のネガとポジの関係に似ていますが、実はこの感覚は、書全般に関して極めて重要な感覚です。

これについては余り詳しく話すと本題がちっとも進まなくなってしまうので、近いうちにまた改めて考えてみましょう。


この『寸松庵色紙』、線質が『高野切』と比較すると柔らかいので、うっかりすると、線が弱々しかったり締まりがなかったりしてしまいがちなので注意しましょう。


様々な形の散らしが出てきますが、慣れないうちは同じ寸法の紙を用意して、一行をひとまとまりとした簡略な図にしてみると良いと思います。

全てのパターンを体に叩き込むというくらいのつもりでやっていると、そのうちに自分が書いている時にも

「ここでは位置が高過ぎる」

とか

「これでは行間が狭過ぎる」

とかいった感覚が掴めてきます。


「感覚」という言葉を使ってしまうと、ついつい詰めの甘い、悪い意味での「適当」になってしまう人が多いようです。

しかし、「感覚」というのは地道な積み重ねの結果として、いつの間にか少しずつ自分の中に蓄積されていくものであって、最初から自分の中に用意されているものではありません。

ここでの「感覚」とは、換言すれば「体感的審美眼」なのですから。


ですからここは極めて冷静に、努めて分析的な目で見て下さい。

ある仮名の大家のセリフではありませんが、定規、分度器、虫眼鏡、何を使っても構いません。

「寸分違わず」

という気持ちで取り組みましょう。


今回はここまで。

それではまた。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

「何だか下手な事を書いたら説教されそう・・・」

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。
ラベル:書道
posted by 華亭 at 08:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨書のすすめ 仮名 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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