2008年01月14日

なぞるだけ?

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この時期になると、毎年似たような、何とも苦々しい気持ちにさせられます。

「無理だよねぇ・・・」


何の話かというと、ボールペン字や実用書などの通信講座のコマーシャルの事です。


「なぞって真似るだけで字が上手くなる!」

こんな売り文句が繰り返されていますが、これって本当なのでしょうか?


結論から言えば、

「無理だよねぇ・・・」

という答しか出てきません。


何故でしょうか?


例えばボールペン字について考えてみましょう。

何も難しい話ではありません。

これまでにも、何度もこのブログで書いてきた話です。(このブログを読み続けてきた方にとっては重複する内容になりますが、お許し下さい。)


簡単に言えば、

「だって、なぞる事すら出来ないでしょ。」

という事です。


「そんな馬鹿な話があるか!なぞるだけなら誰にでも出来るだろ!」

と思われるかもしれませんが、それなら実際にやってみて下さい。

なぞるものは何でも構いません。

チラシの文字でも絵でも、何でもいいので、ボールペンでなぞってみて下さい。


但し、わずかにでもずれてはいけませんよ。

わずかにでもずれてしまうのでは、なぞれた事になりません。

何故なら、実際に字を書こうと思った場合、そのわずかなずれこそが、字形に大きく左右するのですから。


どうですか?

本当に出来ましたか?


もしも本当に寸分違わずなぞる事が出来たとすれば、その人は既にそこそこの字を書けている筈です。

「字が上手になりたいな。ペン字でもやってみようかな。」

と考えているような段階の人達にとっては、寸分違わずなぞるなどという事は、殆んど不可能に近い程の芸当の筈です。


「何で?筆を使うのならともかく、ボールペンなんて自分でもずっと使ってきてるのに。」

と思ったあなた。

違うんです。


「ボールペンなんて自分でもずっと使ってきてる。」

確かにその通りです。

ですが、実際には

「自由自在に使いこなせている」

というわけではないのです。


ボールペンに限らず、ある筆記具を自由自在に使いこなす為には、手(指)を自由自在に動かせなければなりません。

自由自在に動かすという事は、換言すれば手(指)の筋肉の動かし方を覚えるという事です。

これはちょうど楽器演奏の練習に似ています。

ピアノが弾けない人がピアノの練習を始めた場合、曲の練習をしようと思っても、最初のうちは、それ以前に指が自分の思ったように動いてくれなくて四苦八苦する筈ですが、それと全く同じ事です。


ところが、ボールペンのようなありきたりの筆記具の場合、自分でも長年使ってきているので、自由自在に使いこなせていると思い込んでしまい、

「自分の字が上手にならないのは、形の練習が足らない事が問題なんだ」

と錯覚してしまっているのです。(これとは反対に、毛筆の場合、自由自在に手が動かないという事を自分自身で強く自覚しやすい為、このような錯覚は起こりにくくなります。)


違うんです。


あなたの手(指)は、あなたが思っている程には、自由自在になど動いてくれてはいないのです。


手(指)が自由自在に動かせないのに、ボールペンで思ったような形に線が書けるわけがありません。

思ったような形に線が書けないという事は、思ったような字形が書けないという事に他なりません。

つまり、形の練習をしたくても、それ以前の段階が問題になり、形の練習にならないのです。


字形などというものは、単なる結果に過ぎません。

そのような結果になってしまう原因を修正しなければ、結果が変化してくる筈などないのです。


原因をそのままにしていくら手本をなぞってみたところで、それは

「なぞっているような気分になっている」

に過ぎないのです。


尤も実際には、形の練習をしながら、筋肉の動かし方を身体に覚えこませるという事になるのでしょうが、一体どれ程の人が

「筋肉の動かし方」

になど、意識を持ちながらペンを持つのでしょうか。


その結果、

「大した成果も出ないまま、続かなくなってしまって何となく自然消滅」

という事になってしまいがちなのです。


私の教室でもペン字だけのコースがありますが、今まで、筋肉の動かし方にまで意識を持ちながら練習を続ける事が出来た人は、たった一人しかいません。(この人は今でも通い続けています。)


誤解しないで欲しいのですが、続かずに辞めていってしまう人の場合、今回のような話をこちらから何もしないから気付かない、というのではありません。

当然の事ながら、こちらからは何度も何度も繰り返しお話するのですが、本当の意味で意識する事がなかなか出来ないのです。

何故なら、繰り返しになりますが、ボールペンのようなありきたりの筆記具の場合、自分で自由自在に動かす事が出来ていると錯覚してしまっているからです。


毎回のように指摘をされ続けてすらそうなのですから、目の前で指摘される事もなく、単なる結果としての字形だけを扱わざるを得ない通信講座では、どうなるのかは繰り返し言うまでもないでしょう。


以上のような理由から

「無理だよなぁ・・・」

という溜息交じりの独り言が、今年もやっぱり繰り返されるのでした。


さて、最近愚痴っぽい内容が多いので、次回は話を変えましょう。

それではまた。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

「何だか下手な事を書いたら説教されそう・・・」

という方、また、通信添削について御質問のある方は、下記のアドレスまで御意見御質問をお送り下さい。

誹謗中傷を目的としたような常識に反するもの以外、お返事させていただきます。

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。

ラベル:書道
posted by 華亭 at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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