2007年09月24日

要注意

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お久しぶりです。

余りにも久しぶり過ぎて、読者の皆さんには、

「今度こそ、このブログは終わった」

と思われてしまっているに違いないのですが・・・(苦笑)

止めるつもりではありませんので、図々しいようですが、これからもよろしくお願いします(汗)


さて、久しぶりの今回のネタはと言うと。

ある人の本についてです。


石川九楊(いしかわきゅうよう)


御存知の方も多いかと思いますが、肩書きで言えば、書家とか書論家とかになるのでしょうか。

確か京都精華大学の教授もしていらっしゃいます。


彼の著作は非常に数多く、書に関する出版物の中では現在の日本で最も「売れる」本を書く人かもしれません。

恐らく、このブログの読者の中にも、熱心なファンの方がいらっしゃるかと思います。


その極めて分析的な視点による詳細な解説と、彼独自の「筆蝕論」に於ける論理展開は、初学者にとって

「なるほどなぁ」

と大いに感じ入るに充分なものです。

特に、それまで漠然としか書を見ることが出来ていなかった人にとっては、

「書とはこういうものなのか」

「書とはこうやって見るものなのか」

と、目を開いてもらったように感じた人も少なくないはずです。


と、ここまで書くと

「今回は彼の著作がお薦めなのか?」

と思われるかもしれませんが、ちょっと待って下さい。


確かに彼の文章は、初学者にとって極めて多くの示唆を与えてくれるものではあるのですが、一つだけ、気を付けなければならない点があるのです。


彼はその癖として(実際には本人も自覚していると思われますが)「筆蝕論」をはじめとする彼独自の理論について、それがあたかも一般的な認知を得ているかのような錯覚を読者に与えるような書き方をします。

つまり、学術的に、あるいは書道史的にと言っても良いかもしれませんが、既に充分に定説として認知されてきている部分と、彼の自論との部分とが、全くの同列に、何の注記も無く混在されたまま記述されているのです。


ですから、何も知らないまま彼の文章に触れた人は、何の疑問も持たずに、彼の自論部分までも、それが定説なのだと思い込んでしまう可能性があるのです。



「極めて分析的な視点で」

と書きましたが、例えば西川寧氏の文章に馴染んできた人であれば、極めて分析的な視点からの文章という点で言えば、石川氏の文章は特別に目新しいものではありませんし、時代的必然として、石川氏のそれの方が西川氏のそれよりも豊富な図版を活用しながらの解説を可能としているに過ぎません。

それでも先に書いたように、初学者にとって彼の文章は極めて魅力的に感じるものなのだと思いますし、実際、以前私が教えていた人からも

「先生、こんな良い本を見つけたんです」

と、言われた事がありました。


ところが、魅力的に感じるからこそ、盲目的に

「それが全て」

であると、刷り込まれてしまいやすくもなるのです。



彼の自論の全てが間違っている、という話ではありません。(勿論、個人的見解としては首肯し難い部分は多々ありますが。)

仮にそれが正しいものであったとしても、それがあくまで彼の自論なのだという事を、読んだ側が認識出来るかどうかが問題なのです。


「認識出来ないのは、読む側の力不足、知識不足のせいだろう」

という意見もあるかもしれません。

しかし、彼の著作の多くが、書に対する知識も審美眼もまだ殆んど持っていないような段階の人達に向けたものである以上、認識出来ないという事実を読者側の責任としてのみ押し付けてしまうというのでは、余りにも酷だと思うのです。


ですから私は、初学者には彼の著作は薦めない事にしています。(彼のファンの方、ごめんなさい)


もしも皆さんの中で、彼の著作を読んで大いに感じ入るが事があったという人がいましたら、決して盲目的になる事のないように。

要注意ですよ。


そう言えば以前、たまたま買った雑誌『墨』誌上に(確か趙之謙の特集につられて買ったのだと思います。)、比田井南谷氏の作品についての石川氏の文章について、比田井和子氏からかなり強烈な批判文が寄稿されていた事がありました。

正面切ってケンカを売ったような文章だったので、不謹慎ながらも

「へぇ、これは面白い事になったな」

と思っていたのですが、翌月号以降を買う事などすっかり忘れてしまい、その後どうなったのか分からずじまいでした。

南谷氏の作品制作の内情を知る人間からの極めて正当な批判に対して、弁の立つ石川氏が一体どのような反論(言い訳)をしたのか、ちょっと興味があったのですが。

誰か、その後どうなったのか、知りませんか?


さて、次回はいつになることやら(苦笑)

それではまた。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

「何だか下手な事を書いたら説教されそう・・・」

という方、また、通信添削について御質問のある方は、下記のアドレスまで御意見御質問をお送り下さい。

誹謗中傷を目的としたような常識に反するもの以外、お返事させていただきます。

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。

ラベル:書道
posted by 華亭 at 21:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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