2007年07月06日

篆刻なのに?

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今回は篆刻の話をしましょう。


篆刻を学ぶ際によく質問されるのが、

「篆刻をやる前に篆書がしっかりと書けるようになっていなければいけないのか?」

という問題です。


「やりたいのは篆刻、つまり刻する方なのであって、篆書が書けるようになりたいわけではない。」

という事なのでしょう。


ちなみに私は篆刻の場合、「彫る」とは言わずに「刻する」と言いますが、この言い方は一般的ではないようなので御注意を。


さて、さっきの問題、皆さんはどう思いますか?


答えは簡単です。

「書けなくてもかまいません。しかし、しっかり書けるようにならなければ、ろくな印は刻せませんよ。」


書きたいわけではないのに、何故でしょうか?

草稿を考える際や布字(石に刻する文字を書き入れること)をする際に篆書の筆法でも必要になるのでしょうか?


そうではありません。


まともな篆書が書けないまま篆刻をやろうとしても、篆書に対する審美眼が自分の中に蓄積醸成されていない状態では、自分が刻した印が良いのか悪いのか、判断出来ないからです。


当然の事ながら、篆刻には書くのとは違った篆刻独自の部分があります。

最も端的な例は刀法でしょう。

そのような独自の部分に対する審美眼については、篆刻によってのみしか養えないというのは確かに事実ですが、篆刻独自の部分に至る前に、篆書そのものの審美眼が必要になるという事もまた言うまでもない事実です。


「篆書に対する審美眼なら、篆刻をやり続ける事によっても養われていくだろう。」

と思われるかもしれません。

確かにその通りではありますが、篆刻と筆で書くのとでは、自分の体の中を通す文字の数や種類が桁違いです。


この場合の「自分の体の中を通す」というのは、目で見ることによって目から入ったものを、実際に自分の手で刻したり、書いたり、といったように実際に自分の手を使って外に出す、という意味ですが、篆書に限らず書の審美眼というのは、自分の体の中を通した字の質と量によって、少しずつ少しずつ蓄積される鍾乳石のようなものですから、ちょっとやそっとの数を通しただけでは全くと言ってよい程に役に立ってくれません。


「それなら筆で書くのと同じくらい、たくさん刻すればいいじゃないか」

という意見も出そうですが、「書けなくてもいいだろう」などという安易で即席な考え方をする人間が、書くのと同じくらいたくさん刻するなんて事はちょっと考えられません(苦笑)

何しろ刻するには書くよりも遥かに手間がかかるのですから。

そもそも刻する前の布字の段階でデタラメになってしまいますから、それをどれ程たくさん刻してみても仕方がありません。


というわけで、書きたいわけではないとしても、しっかりと篆書が書けるようになっておく必要があるのです。

もっとも、実際には「書けるようになってから」なんて言っているといつまでも篆刻を始められずにそれだけで一生終わってしまいますから、刻するのと書くのと同時進行に学んでいく事になるでしょうが。


「書けなくてもいいだろう」などと考える人というのは、手っ取り早い近道を選んでいるつもりなのでしょうが、実はかえって遠回りをしているだけであって、いつまで経っても前に進まないものなのです。


ですから、書きましょうね。


今回はここまで。

それではまた。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。
ラベル:書道 篆刻
posted by 華亭 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 篆刻のすすめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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