2015年10月17日

「文字」と「形」の問題。

これまでの記事の一覧はこちらへ
記事の一覧です

通信添削についてはこちらへ
通信添削について』

メールによる御質問はこちらのアドレスへ
nonbirishodo@mail.goo.ne.jp

--------------------------------------------------------

前回と同様に、今回の話、普段の教室では色々な方達に繰り返し話し続けているので、てっきりこのブログでもさんざん書いてきたとばかり思い込んでいたのですが、通信添削を受けていらっしゃる方から以前御指摘を頂戴しまして、「書いてきた」というのはどうやら私の思い違いだったようなので、今回は改めてちゃんと書いておこうと思います。

これまでに触れた事のある内容と重なる部分も多々あるかもしれませんが、改めて内容をまとめ直し、という事で何卒御容赦ください。

因みに今回の内容は、以前触れた文字認識と図形認識に絡むお話です。


さて、やっと本題。

私は初学者の皆さんにとっての大きな問題の1つは、手本の字を「文字」として捉えてしまう事だと考えています。

そう言われても、

「字を『文字』として捉えるなんて当たり前の話だろ?」

と思われる人が少なくないのかもしれません。


結論から言うと、

字を「文字」としてではなく、「形」として捉える事が出来るかどうか、これが極めて重要だと思います。

私の指導経験上、この「形」として捉える感覚というのは、私から何も言われなくても最初から身に付けている人もいれば、何十年やってもなかなか身に付かない人もいるようです。


しかしそもそも「文字」の見た目を形作っているのは、それこそ文字それぞれが持っている「形」のはずです。

にも関わらず何故、人は「文字」を「形」としてではなく「文字」として認識するのでしょう。


文字それぞれが本来持っている「形」を単なる形ではなく「文字」として分け隔てているのは、他でもない人間自身の認識です。

例えば「あ」という文字を100人に書いてもらうと、実際には100通りの形を持った「あ」が出来上がるわけですが、私達はそこに顕れているはずの100通りの形の違いは無いものの如く、同じ「あ」として認識します。

これは、様々な種類の犬を見ながらも、ひとまとめに抽象化された「犬」として認識するのと似ていて、100通りの形を見ながらも、ひとまとめに抽象化された「あ」という文字としての認識です。(文字認識)

この観点からすると、字を「文字」としてではなく「形」として捉える、というのは、ひとまとめに抽象化された「あ」としてではなく、100通りの「あ」として捉える、という事に他なりません。(図形認識)


それでは何故、そんな必要があるのでしょうか?


たとえそれが無意識であったとしても、手本の字を「文字」として捉えてしまうと、本人がいくら「手本そっくりに書こう」などと思いながら手本を見ていても、実際には、あくまで「文字」としての「あ」として捉えているに過ぎない、という状態になります。

この状態では、100通りの「あ」が持っているはずの100通りの形を、それぞれ別々のものとしては認識しようとしません。

早い話が「読んでいる」に過ぎない状態です。

そして、ここが厄介なところですが、「文字」として捉えられた手本の「あ」は、それを書く際にも無意識のうちに、「文字」として捉えた感覚のままに「文字」としての「あ」として書かれてしまう事になるのです。

そうなると、既に自分の中に出来上がってしまっている「文字」としての「あ」の字形が、手本の字形とは関係無く出てきてしまうのです。

これでは手本を見ている意味がありませんね。


「いつまで経っても癖字が直らない」

と嘆く人がいますが、これもその典型的な症状です。

このような人の場合、文字認識でしか字を見たり書いたりしていません。

癖字を直す、という問題については、「癖字を直す」という意識ではなく、「癖字とは別の字形を新たに覚え直す」という意識がとても重要なのですが、それも、字を見たり書いたりする時に、「文字」としてではなく「形」として扱う、という意識を持てるかどうかにかかっています。

敢えて表記を区別すれば、「見たり書いたり」ではなく、「観たり描いたり」といった感じですね。


と、ここまで書いてきましたが、今回と同様の内容、やっぱりどこかで書いたような気がしたので探してみたら、、、

ありました!


形の話。その2」の回で、「ま」を例に挙げて説明しています。

う〜ん、完全にネタがかぶってしまいました(汗)

でもまぁ、せっかく書いたので、ボツにするのも勿体ないし(笑)、このままアップしてしまいましょう。

というわけで、「形の話。その2」の回を改めて読んでみて下さい。

それではまた。

--------------------------------------------------------

初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

「何だか下手な事を書いたら説教されそう・・・」

という方、また、通信添削について御質問のある方は、下記のアドレスまで御意見御質問をお送り下さい。

誹謗中傷を目的としたような常識に反するもの以外、お返事させていただきます。

尚、「この草書で書かれた文の読み方を教えて欲しい。」「この古典の訳を教えて欲しい。」といった主旨の御依頼は受けかねますので、何卒御了承下さい。

nonbirishodo@mail.goo.ne.jp


定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。
posted by 華亭 at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック