2015年10月14日

余白に対する意識。

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今回の話、私にとっては改めて意識する事など無いくらいにいつの間にか当たり前のようにやっていた事なので、師に教わったわけでも何かを読んで身に付けたわけでもありません。

なので、世の中の書の先生達がどのように考え、どのように教えているのか、そもそもこんな話をするのかしないのか、といった事についても実は全く分からないのですが、私の中では極めて重要なポイントだと思っている部分なので、普段の教室でも、このブログの通信添削でも、頻繁にしている話です。


例えば「口」という字を手本を見ながら書く時を考えてみます。

「口」その1-1.jpg


皆さんの場合、手本を見ながら1画目から順番に「太さは?角度は?長さは?」と筆線に意識を向けながら書くと思います。

当たり前ですよね。

当たり前なんですが、私の場合、ちょっと違います。


手本を見たら先ず、筆線に囲まれている余白の部分(黄緑の部分)に意識を向けて、手本の余白の形と大きさをしっかりと掴みます。

「口」その1-3.jpg

そうしたら、今から自分が書く(まだ白いままの)紙面の上に、手本から掴んだ余白の形と大きさをはっきりとイメージします。
「口」その1-2.jpg


それから今度はその紙面にイメージした余白を「線で囲いこむ」つもりで書いていく、といった感じです。

勿論、「線」とは言っても筆線には形がありますから(「形の話」の回参照)、形を持った筆線で囲いこむ事になります。


どうでしょうか?

皆さんとは意識の仕方が反対と言うか裏返しと言うか、とにかく違うのが分かるでしょうか?

例えば1画目で言えば、私が気を付けているのは「1画目の長さ」なのではなく、「余白のAの長さ」なのです。
「口」その1-4.jpg

「同じ事だろう?」

と思われるかもしれませんし、確かに結果としては同じ部分の長さを意識している事に違いは無いのですが、その意識の中身はまるで違います。

皆さんの場合は、1画目、2画目、3画目、と書き進み、その結果として余白が浮かび上がる、という事になるわけですが、私の場合は余白ありき、書く前に既にその形も大きさも決定している、という事なんです。

皆さんの場合、この辺りが曖昧なままに書き始めてしまうので、書き上がった時に、

「口」その2-1.jpg


このように、外形は大体同じでも、よく見ると余白の形が全然違う、という事が起こりがちなのです。


今回の話、実は随分前に「書譜」の回で同様の内容についてほんの少しだけ触れています。

少しだけではありますが触れていますし、普段の教室や通信添削で余りにも日常的に「ここの余白を手本と比べてみましょう」といった話をしているので、とっくにきちんとした内容として記事にしてあるとばかり思い込んでいました(汗)

今回は説明の為に「口」を例に挙げたのでとてもシンプルな話でしたが、実際にはこれ程シンプルにいく時ばかりではありません。

しかし、私の場合にはありとあらゆる箇所に関して、線の部分ではなく線によって生まれる白い部分に対するこの感覚が働き続けています。

と言うよりも、私にとっては「字を書くというのはそういうものなのだ」と言える程に当たり前な話ですし、「それを抜きにして書けと言われても無理」と思える程に体の芯まで染み付いてしまっています。

これが良い事なのかどうか、正直に言うと私にも分かりませんが、この感覚が抜け落ちているが故になかなか上達していかない、というケースを指導の現場で数多く見てきたので、ここで改めて触れてみる事も無駄ではないように思い、今回の話となりました。

参考になりましたら幸いです。

それではまた。

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posted by 華亭 at 23:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
華亭先生
筆硯ますますご清栄の御事とお慶び申し上げます。さて常々、「余白」に意識をと、御指導をいただいておりますが、今回の文章を拝読しまして改めて反省いたしました。『私が気を付けているのは「1画目の長さ」なのではなく、「余白のAの長さ」なのです。』とまでとは、実は度々注意を受けながら思いがいたっていませんでした。とても参考になりました。どうも有り難うございます。今後ともご指導のほど宜しくお願い申し上げます。holy拝
Posted by holy at 2015年10月19日 08:36
holy様

今回の話、私が書を人様に教えるようになってから改めて気が付いた事の1つです。
「みんなは違うんだ」と不思議に思った事をよく覚えています。

練習するに際し、少しでも参考になりましたなら幸いです。
Posted by 華亭 at 2015年10月19日 17:18
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