2007年05月18日

徐三庚の側款

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今回は「篆刻のすすめ」として、徐三庚の側款のお話です。


「え〜、1発目から側款の話?」

という声もあるでしょうが、実はこのカテゴリーを作った大きな理由の一つは、この話をしたかったからなのです。

ですから、非難の声を耳にしながらでも強引に進めます(笑)


私が徐三庚の側款に惹かれるようになったのはいつ頃だったのか、今となっては記憶が定かではありませんが、側款の刻し方を自分であれこれ試行錯誤していた過程であったように思います。

二玄社の『中國篆刻叢刊』を見ながらあれこれしているうちに、呉譲之でも趙之謙でも呉昌碩でもない、徐三庚の側款の楷書の繊細な美しさに惹かれていたのです。

強い前のめりを右下への踏ん張りによって支え、見事にバランスを保っているその姿は、当時の私にとって例えようが無い程に魅力的なものでした。


その後の私が何度も彼の側款の模刻を繰り返した事は言うまでもありませんが、その他にも私は『中國篆刻叢刊』に所収の徐三庚の印について、その側款の文字を1文字ずつ、全ての文字を模写して字形字典もどきを作りました。

今となってみれば、拡大コピーでもしたものを切り貼りして作った方が良かったのかなとも思いますが、当時はそこまで考えが及ばず、細かい部分まで模写する為にわざわざ製図用のシャープペンや消しゴムまで買ってきて、夢中になってせっせと作ったのでした。

もっとも一文字ずつ自分の手で模写したおかげで、字書もどきが出来上がった時には、刀の使い方も含めてその特徴の細かい部分まで十分に観察することが出来ていましたから、拡大コピーに頼らなかったのは結果的には良かったのかもしれません。


字書もどきを作り上げた私は、自分自身で刻した印に側款を刻す場合、必ずその字書もどきを使って集字し、正に徐三庚風に刻して喜んでいました。

更には毛筆で書く際にもその風を倣い、側款の雰囲気を紙面に展開出来ないかと試してみたり、と随分とそんな事をやりました。

これ程の楷書の造形を我が物としていた彼が、何故、側款以外の場でその書姿を遺さなかったのか。

篆書にしか興味が無かったと言ってしまえばそれまでですが、それが今でも理解出来ません。(それとも私が知らないだけで、側款の姿を髣髴とさせる楷書作品も存在するのでしょうか?)

もしも彼だったらどのように書いただろうか、と想像しながらの試行錯誤はとても楽しかった事を覚えています。


以前どこかの回で、私の楷書の基礎となったのは『九成宮醴泉銘』『孔子廟堂碑』『張猛龍碑』の3本だと書いたような気がしますが、もう一つ付け加えるとすると、それは徐三庚の側款かもしれません。


篆刻というと印面に刻されたものばかりに目が行ってしまいがちですが、側款には印面とはまた違った世界があり、とても面白いものです。

現在の篆刻界では、側款というと、呉昌碩か趙之謙の風を倣ったものが主流のようですが、もっともっと徐三庚の側款にも光が当たって欲しいと思っています。

皆さんも一度、じっくり眺めてみて下さい。

それではまた。

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。


ラベル:書道 篆刻
posted by 華亭 at 19:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 篆刻のすすめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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