2007年05月22日

十七帖

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久しぶりに「臨書のすすめ」です。

今回は「臨書のすすめ 草書」として、王羲之の『十七帖』を取り上げます。

テキストはいつもどおり二玄社『中国法書選』でかまいません。


さて、今回の『十七帖』ですが、これは王羲之の尺牘を集めたものです。

『十七帖』という名前ですが、17通の手紙が集められているというわけではなく、冒頭部分が「十七〜」から始まっているところからそう呼ばれています。

いつもそうですが、この辺りの解説はわざわざこのブログで書かなくても、テキストの解説にも書いてありますし、調べようと思えば詳しく説明したHPやブログをネットでいくらでも探せるでしょうから、これ以上は割愛しましょう。


このブログでは「臨書のすすめ 草書」として、既に『書譜』を紹介しています。

書譜』の臨書をしっかりやっておいた人であれば、この『十七帖』も、後述の点さえ注意すれば、それほど問題無く取り組む事が出来ると思います。


この『十七帖』、有名な拓本としては上野本と三井本があります。

『十七帖』の臨書というと、このどちらの拓本から始めるのが良いのかというのが必ず取り沙汰される問題で、多くの場合、完本である三井本を薦めているようなのですが、私としては敢えて上野本をお薦めしておきます。

三井本には、転折部などで筆を一度離してから入れ直しているかのように見える、ちょっと変わった刻法がなされている部分があちこちに見られ、これらは断筆などと呼ばれていますが、この断筆の部分が、初学者が一人で学ぶにはその解釈が少々厄介かと思うからです。


実は、『書譜』をよく見ると、これによく似た書き方が実際にされている部分が時々見られますが、だからと言ってその事を挙げて、三井本に見られる断筆が全て実際の筆の動きを忠実に刻したものだと考えてしまうのは余りに早計です。

その辺りも含めて、この断筆の扱いについて一つ一つ説明してくれる人がいれば話は別ですが、「臨書のすすめ」で視野の中心に据えている独学者の方にとって少しでも学びやすいものをと考えた場合、三井本を先にすることには躊躇せざるを得ません。


それでも、

「三井本なら完本なんだし、それからやって何が悪いの?」

という意見はもっともですし(上野本には一部欠落部分がある)、どちらからやるにしても、結局両方やった方が良いのは言うまでもありませんので、三井本からやりたいという方は、それで何の問題もありません。

ただ、断筆の解釈に注意が必要であることは確かですので、三井本からやりたいという場合には、その辺りを念頭に置いておきましょう。


この『十七帖』を臨書した後で、再度『書譜』を臨書し直してみると、孫過庭がどれ程に王書をよく学んでいたのかがよく分かりますし、その上での両者の違いといった部分も見えてきます。

そういった目で、もう一度『書譜』を臨書してみるのも無駄ではありません。

お薦めは

「『書譜』の中に『十七帖』のそっくりさんを探してみる」

という方法です。

この方法は単純ですが一番手っ取り早いですし、得るものも多いと思いますから是非お試し下さい。


今、簡単に「王書」と言いましたが、

「王書の真面目は何処に求めたら良いのか?」

というのは極めて難しい問題ですから、このブログで簡単に取り上げられる範囲を遥かに超えてしまっていますし、

「孫過庭が学んだ王書とは一体どのようなものであったのか?」

という問題もありますが、少なくとも、この『十七帖』のような拓本が、王書として伝えられ、その時代毎の人達に学ばれてきたという事は事実でしょう。(孫過庭が実際に『十七帖』を学んだかどうかは問題が別ですが)


ですから王書の真面目を考えてみる時には勿論ですが、各時代毎の王書との関わり方や捉え方を考えてみる場合にも、彼らが接してきたであろうこのような拓本について、十分に理解しておく事は極めて重要です。

その意味では話はこの『十七帖』に限ったものではないわけですが、草書の典型としてだけではなく、王書の典型としても、その入り口として避けては通れないのが、この『十七帖』だと思います。


じっくり時間をかけて取り組んで下さい。。


久しぶりの「臨書のすすめ」でした。

また、あまり間が空き過ぎないうちにお届け出来たらと思います。

それではまた。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

「何だか下手な事を書いたら説教されそう・・・」

という方、また、通信添削について御質問のある方は、下記のアドレスまで御意見御質問をお送り下さい。

誹謗中傷を目的としたような常識に反するもの以外、お返事させていただきます。

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。


ラベル:書道
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posted by 華亭 at 04:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨書のすすめ 草書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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