2007年05月14日

入り口はどっち?

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こんな地味なブログでも、細々と続けているうちに随分と記事がたまってきました。

こうなると、自分でも以前一度書いたことがある話題かどうか、記憶がはっきりしなくなってきます(苦笑)

ですから、今回のお話は、これまでに書いたことがある内容と重複してしまう部分も多いかと思いますが、お許し下さい。


以前、こんな話を読んだ事があります。

それはある書道雑誌上でのある書道団体幹部の先生へのインタビューでした。

その先生曰く

「うちの会では新しく入った人でも、筆も、墨も、紙も、全てこちらで指定したものを使ってもらっている。確かに高価なものかもしれないが、初心者のうちから良いものを使っていれば、自然と良いものを見極める目も育つからだ。」

更に

「普段の練習にこそ、良いものを使わなければ駄目だ。清書にだけ良いものを使おうなんて考えていたら、いつまで経っても良いものを使いこなせるようにならない。」

という事なのだそうです。


異論はありません。

確かにこの先生の仰るとおりだと思います。


でも・・・

何だかすっきりしません・・・


この先生の言うとおりだとすると、書を始めようとするには、先ずは高価な道具を揃える事から始めなければならないのでしょうか?


今回も料理の話で考えてみます。

あなたは今まで料理なんて一切したことがありません。

ある日、テレビの料理番組を見ているうちに、ふと、自分も料理を始めてみようと思い立ち、料理教室を訪ねてみました。

ところが、その料理教室の先生はあなたにこう言ったのです。


「料理を始めたいのなら、先ずはこの包丁セットを用意して下さい。5本で30万円です。最初から良い道具を使ってこそ、道具の良し悪しが分かるようになるのです。」


さて、あなたはどうしますか?

1、先生の言うとおりその包丁セットを購入する。
2、買わずに帰り、2度とその教室には行かない。


1を選んだ人、今回の話はこれ以上読んでも全く意味がありませんので、ごめんなさい。

私なら、迷わず2を選びます。


理想で言えば、確かに最初から良いものだけを使った方が良いとは思います。

ですが、例えばそれが高価なものの場合、せっかく始めてみようと思っている人の気持ちが、道具が高価であるという事実によって萎んでしまったりという事はないのでしょうか。


そんな事は無い、という人も大勢いるのでしょうし、例え高価であっても、最初の出費を自己投資として考えられるという人もいるのでしょうから、それならそれで何の問題もありません。

高価な道具を揃える気が有るか無いかよって、その人の意気込みの本気度合を試すフィルターになる、という考え方もあるかもしれません。


しかし・・・

一般的な人達の心情からすると、書道教室の敷居は随分高いと聞きます。

その上に最初から高価な道具を揃えなければならないとすれば、高い敷居が更に高くなってしまうように思うのですが・・・


勿論、どんな道具でも良いというわけではありませんし、しっかりと使えるものでなければ困りますが、これから初めて料理を始めようとする人間に、1本数万円の包丁を使うように指定してしまうような話の始め方というのは如何なものかと思ってしまうのです。

道具の良し悪しが分かるようになるのは確かに大切な事ではありますが、道具というのは本来あくまで二義的なものでしか過ぎません。

自分の使用する道具に対して妥協しない、という姿勢も、進んでいくうちに必ず必要になってくる態度ではありますが、初心者の段階から

「先ずは道具ありき」

と思われても仕方が無いような考え方は、私はやっぱり手放しでは賛成出来ません。


私が普段、書を教えていると、よくこんな事を言われます。

「先生の使っている筆はとっても書き良さそう。」

こんな時、私は黙って自分の筆をその人に渡し、1文字書いてみてもらいます。

結果は・・・

勿論いつもと同じようにしか書けません。

当然です。

私の使っている筆は、その人が使っているものと同じものなのですから。


今度は

「おかしいわねぇ・・・」

と首を傾げるその人の筆を借りて、私が1文字その人の目の前で書いて見せます。

結果は・・・

別に変な字になるわけではなく、いつもと同じようにしかなりません。

「不思議ねぇ・・・私の筆も、先生が使うと何だか書き良さそうに見えてくるんだから・・・」

そこで私はこう答えます。

「筆のせいにしたら筆がかわいそうですよ。」


私の師はよくこう言います。

「書は筆で書くのではない。腕で書くのだ。」


この事を本当の意味で理解しないうちに道具にばかり目を向けてしまうというのは、決して良い事ではないと思います。

ですから、書の入り口として、最初から道具にばかり目を向けさせてしまう事にもなりかねないような話の始め方には、私は賛成出来ないのです。


皆さんはどう思いますか?

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

「何だか下手な事を書いたら説教されそう・・・」

という方、また、通信添削について御質問のある方は、下記のアドレスまで御意見御質問をお送り下さい。

誹謗中傷を目的としたような常識に反するもの以外、お返事させていただきます。

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。


ラベル:書道
posted by 華亭 at 09:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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