2007年03月04日

高貞碑

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今回は「臨書のすすめ 楷書」として『高貞碑』を取り上げます。

テキストはいつもどおり二玄社『中国法書選』を挙げておきます。


これまで「臨書のすすめ 楷書」として、『九成宮醴泉銘』『孔子廟堂碑』を取り上げてきました。

孔子廟堂碑』の回でも少し触れたように、本当であればここで『皇甫府君碑』でもやりたいところなのですが・・・我慢しておきます。

何から始めれば?楷書の場合」でお話した流れから言えば、次は『張猛龍碑』ということになりますが、あの話はあくまで私の臨書遍歴であって、あの順番がベストというわけではありません。

『九成宮醴泉銘』や『孔子廟堂碑』の臨書を続けてきた人が、いきなり『張猛龍碑』に取り組むのは、実際のところ少々大変だと思います。


「顔真卿は?」

という声が聞こえてきそうです(笑)

顔真卿は有名ですし人気も高いですが、私の私見としては、

「顔真卿の楷書は楷書の典型として考えるべきではない」

という意見なので、ここでは見送ります。

「さて、何を取り上げようか?」

と思案し、一時は欧陽通の『道因法師碑』まで考えましたが、色々考えた結果、今回は『高貞碑』を取り上げる事にしました。


『高貞碑』は北魏系とは言え、ここまで来ると、書道史的な変遷としても隋唐の楷書まであと一歩のところですから、非常に洗練された書姿を見せています。

『九成宮醴泉銘』のような初唐の楷書にのみ慣れた目にも、何とか大きな違和感無く入ってくるのではないでしょうか。


このブログではこれまで

「とにかく形臨、ひたすら形臨」

と繰り返してきましたが、拓本の姿そのままに形臨するという意味では、楷書に関してはこの『高貞碑』や『張猛龍碑』あたりがギリギリのところかもしれません。

龍門系の楷書までいくと、「そのまま形臨」と言ってしまうには色々と問題が出てきますからね。(問題の詳細についてはまたの機会に)

この『高貞碑』でも、入筆や転折の部分でそのままそっくり再現しようとするには難しいところが無いわけではありませんが、その辺りを悪戦苦闘することも、この先無駄ではないと思います。


「違和感無く」と言いましたが、それでも『九成宮醴泉銘』のような初唐の楷書を見慣れた目でこの碑を見ると、その入筆や転折の部分が刺々しく、荒々しい印象を受けるでしょう。

龍門系の造像銘に代表されるような北方系の楷書によって最大値まで外に顕された力強さや荒々しさは、時を経るごとに徐々に洗練され、北魏の末期に『張猛龍碑』やこの『高貞碑』を生み出します。

そしてこの後、その力強さは更に内に抑えられて隋唐の楷書美へと移行していくことになります。(あくまで内に抑えられたのであって、単に脆弱になったというわけではありません。)


龍門系の造像銘をやる前に、この『高貞碑』や『張猛龍碑』をやっておくと、隋唐の楷書から時代的に順を追って遡るというだけではなく、実際に臨書するに際しても、

「いきなり造像銘に手を出してはみたものの、どうしたらいいのか見当が付かない」

といった戸惑いを少しは軽減する事が出来ると思います。 

また、隋の墓誌銘などの小さなものを手掛ける前にこの辺りをしっかりやっておく事も必要でしょう。


『九成宮醴泉銘』は字画同士の力の均衡が一見冷淡なまでの静けさの中で実現されていますが、この『高貞碑』に見られる力の均衡には、まだ熱が残っています。

その分、外に溢れる刺々しさも『九成宮醴泉銘』と比較すると強いわけですが、楷書を学ぶという観点から見れば、それが一点一画の筆画的特徴をを明瞭にしてくれていると言えるわけで、結果として初学者にとっての学び易さにもつながっています。

但し、学び易いからと言って、決して簡単なわけではありませんから誤解の無いように。

入筆角度や字画の絡ませ方等、初学者でも気付く事の出来そうなポイントは数多いと思います。

この碑をしっかりやった後で、もう一度『九成宮醴泉銘』や『孔子廟堂碑』をやってみると、以前やった時には気が付かなかった色々な点に気付く事が出来るでしょうから、それを楽しみにじっくり頑張ってみましょう。


今回はここまで。

それではまた。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。

ラベル:書道
posted by 華亭 at 16:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨書のすすめ 楷書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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