2006年10月08日

集字聖教序

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今回は「臨書のすすめ 行書」の1回目として、王羲之『集字聖教序』を取り上げてみましょう。

テキストは二玄社『中国法書選』で大丈夫です。


「集字」って何?

という人もいるかもしれませんので、一応簡単にだけ説明しておきます。

「集字」というのは、読んで字の如く、字を集める事です。

この『集字聖教序』は碑になっているのですが、王羲之の書いた文字を集めて作った「聖教序」の碑という意味です。

この『集字聖教序』は懐仁(えにん)が集字したものと言われています。


「聖教序」って何?

という人もやっぱりいるでしょうから、それも簡単に。


三蔵法師ってご存知ですか?

西遊記に出てくるあのお坊さんです。

玄奘三蔵というのは実在の人で、天竺(今のインド)まで仏教の経典を探しに旅に出ました。

ちなみに西遊記というのは、この時の旅を題材にして作られた空想物語です。

大変な苦労をして経典を持ち帰った三蔵は、帰国後にそれを漢訳します。

時の皇帝、唐の太宗はその経典に序文を書きました。

内容は簡単に言えば

「三蔵よくやった。お前は偉いぞ。御苦労!」

という感じです(簡単過ぎですが)

つまり、「聖教」とは三蔵が漢訳した仏教の経典、「序」とは太宗が付けた序文のことです。


ですから『集字聖教序』とは、太宗の序文を王羲之の文字を集字して作ったもの、という意味になります。

王羲之の字を集めているので『集王聖教序』と呼ばれる事もあります。


「聖教序」自体は独立した文章ですので、この『集字聖教序』の他にも碑として刻されたものが存在します。

『雁塔聖教序』。

これまた大変有名な碑ですが、「聖教序」と呼ぶだけでは両者の区別が付きません。

そこで、王羲之の集字の方を『集字聖教序』とか『集王聖教序』と呼んで、『雁塔聖教序』と区別しています。

ちなみに『雁塔聖教序』とは「雁塔」にある「聖教序」の事です。


今回は行書ということでこの『集字聖教序』を取り上げていますが、中には草書も混在しています。

便宜上、今回取り上げているだけの話ですので、その辺は深く考えないで下さい(笑)


「王羲之なら『蘭亭序』じゃないの?」

という人も多いでしょうが、あれはとても厄介なシロモノです。

数多い諸本の中から、まずはどれを選ぶかというだけでも問題ですし、とても初学者が一人勉強しきれるようなものではありません。

ですから、今回は『蘭亭序』はパスです。


さて、『集字聖教序』ですが、文字数が多いので行書のテキストとしては適当です。

集字されたものなので、文字毎の呼応や行間などは集字者の意であり、そのままを学ぶべきかどうかは問題がありますが、一字毎にじっくり学ぶ初学者にとっては、

「文字毎の呼応などに気を遣わずに済む」

という考え方も出来るわけです。


随分と乱暴な考え方かもしれませんが、実際に『蘭亭序』などを一人で学ぼうとする場合、文字毎の呼応や行間などの、謂わば

「文字以外の部分」

に、どれほど目が行くのか?

という事になると、これははなはだ疑問です。

しかも、ある意味ではこの「文字以外の部分」こそが最も重要な部分であり、その部分が理解出来ないと、一字毎の字形がなぜそのような形として書かれているのかが理解出来ません。

その点、『集字聖教序』の方が、純粋に一字毎の字形に集中しても、『蘭亭序』ほどには学ぶ際の無理が無いと思われるのです。


書く時にはいつものとおり、なるべく同じ速度で書きましょう。

間違っても「トン・スー・トン」なんてやってはいけません。

初学者の場合、自分で引けると感じた部分だけ運筆の速度が上がりがちです。

一度動き出した筆がそのままずっと同じ速度のまま動いていくように意識しましょう。

書譜」の回でも書きましたが、特に転折部では注意して下さい。


書譜」の回で示したサンプルをもう一度見て下さい。


サンプル

上は良い例、下は悪い例です。

それを裏から見たのが次のサンプルです。

違いがよく分かると思います。

サンプル

詳細は「書譜」の回を参照していただきたいのですが、ここでは一つ補足しておきます。


臨書する際、手本を見て書くわけですが、その際、AからBまでを見ておいて書くのではなく、その一つ先のCまでをよく見ておいて書きます。

なぜなら書き始める前にAからCまでを一度によく見ておかないと、Aから動き出した筆がBまできた時に、ついそこで手本に目が行ってしまい、手が止まってしまうからです。

特に楷書しか勉強した事がないような人の場合、転折部で一度手本を見直す癖が付いている場合が多いので、注意が必要です。


「楷書の場合よりも一画先までよく見ておく」

これが行・草の手本を見て書く際のコツと言えるかもしれません。


しつこいようですが、今回もとにかく形臨です。

出来れば半紙に4文字大か、小さくても6文字大で練習して下さい。

前にも書きましたが、あまりに小さく書いてしまうと、自分で書いたものの粗に自分自身で気付く事が出来ないからです。


とにかく形臨です。

「そっくり」を目指して下さい。


行書ですから、5回や10回程度の全臨ならば、楷書の『九成宮醴泉銘』ほどには時間はかからないはずです。

じっくり、しっかりやって下さい。


さて、次回は何にしましょうか。

それではまた。

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あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


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posted by 華亭 at 19:30| Comment(1) | TrackBack(0) | 臨書のすすめ 行書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
蘭亭序
Posted by at 2012年08月21日 15:21
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