2006年09月24日

文庫本の実力

これまでの記事の一覧はこちらへ
記事の一覧です

通信添削についてはこちらへ
通信添削について』

メールによる御質問はこちらのアドレスへ
nonbirishodo@mail.goo.ne.jp

----------------------------------------------------------

今回は少し話題を変えます。

「何から始めれば?篆書の場合」を待っていた方はごめんなさい。


書の勉強をしていくと、必然的に漢文の知識が必要になってきます。

この辺は、「現代書道の意味」という観点で必ず問題にされる部分ではあるのですが、今回はそれについては触れずに、単純に「漢文も読めた方が楽しいよ」という立場で話を進めます。


現代人は漢文に触れる機会が圧倒的に少ないので、白文(漢字だけの状態)をスラスラ読める人などいないでしょう。

それでも、漢文が読めた方が色々と良い点があるのも事実です。


中国の文章の場合、引用が非常に多いのですが、その引用がどこからされているのか、なんて事は一切書いてありません。

何と言っても歴史に名を残しているような名家は、皆間違いなく極めて高い知識を持った文化人です。

「四書五経程度は諳んじていて当たり前」

といった世界ですから、四書五経や老荘は彼らの思想の根本的な部分を形成していると言っても過言ではありません。

そしてそれは、彼らの書に於ける価値観にまで深く関わっています。

時代によって、四書五経や老荘との関わり方や解釈の是非に違いがあるのは当然のことですが、それでも彼らがそれらに深く根差した世界で生きていた事に違いはありません。

ですから、ほんの僅かだけでもその世界を覗いておかないと、彼らとの共通認識に立った視点を持つことが出来ません。


そこで、いざ自分も読んでみようと思った時に便利なのが文庫本です。

文庫本と言うと廉価で手軽なイメージから、馬鹿にする人もいるかもしれませんが、とんでもありません。

四書なら文庫で揃ってしまいます。

白文、書き下し文、現代語訳、と全て書いてあるので、

「どうしても白文は読む気がしない」

ということでしたら、書き下し文と現代語訳だけでもいいですから、読んでおくといいと思います。


そうそう、白文素読の訓練として読むのでしたら、漢文の解説書が無ければいけませんね。

この際の解説書は、大学受験用の「漢文公式集」程度では少々役不足です。

一生使うものですから、この際、もう少ししっかりとしたものを用意しましょう。

ちなみに私は

国書刊行会『漢文解釈辞典』という本を使っています。




さて、漢文を読んでみるとして、

「どれから読むか?」

となると、やっぱり『論語』がお薦めです。




とにかく『論語』を読んでおかないと、先に他のものを読もうとしても、論語を知っていることを前提に話が進む、という場面が多々あるので、先ずは『論語』を読んでみましょう。

それほど長くありませんし、解説書もたくさん出ています。


次は『孟子』です。





孟子は孔子の後継者のようなものですから、内容的にも『論語』の延長線上として読むことが出来るので、読みやすいと思います。


初めは解説書を片手にほんの少しずつしか読むことが出来ないでしょうが、それでも『論語』『孟子』を読み終わった頃には、漢字だらけの白文を見ても、どの字が動詞なのかが分かってくるから不思議なものです。

「習うより慣れろ」

という言葉がありますが、白文素読にも似たようなところがあるかもしれませんね。


『大学・中庸』はそれぞれが短いので、一冊として出ています。

『論語』や『孟子』を読んだ後なら、問題なく読めるでしょう。




さて、次ですが、やはり老荘でしょうね。

ただし、老荘思想というのは、儒教とは対極的な、と言うよりも全く異質の世界観を持っていますので、四書の後に読む場合、最初はなかなか馴染みにくいかもしれません。

それでもやはり「習うより慣れろ」ですから、辛抱して読んでいけばそのうち慣れてしまいます。

そして、「気付いた時にはその独特の世界観にすっかり引き込まれていた」という人も多いと思います。


中国に於いて儒教と老荘思想は、思想の二大潮流として、思想の根底に脈々と流れ続けてきました。

儒教だけでも老荘思想だけでも片手落ちになります。

『荘子』は分量もかなりあるので、読むのも大変だとは思いますが、慌てることはありません。

ゆっくりじっくり読んでみて下さい。












今回は「漢文も読めた方が楽しいよ」ということで、文庫本で読めるものをいくつか紹介してみました。

この手の話になると、必然的に『岩波文庫』と『講談社学術文庫』からの紹介が多くなるのですが、他の出版社のものでも勿論かまいません。


岩波文庫』と『講談社学術文庫』のラインナップは、出版社の良心にかけたような内容を多く揃えています。

正直な話、今時『荘子』なんて、殆んど売れないでしょうから。

さらに『韓非子』なんて、一体年間でどれだけ売れているのか、余計なお世話ながら心配になります(笑)

それでも出し続けているなんて、嬉しいじゃないですか。

文庫本、侮れませんよ。

また近いうちに、文庫で読めるものを紹介してみますね。

それではまた。

----------------------------------------------------------

初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

「何だか下手な事を書いたら説教されそう・・・」

という方、また、通信添削について御質問のある方は、下記のアドレスまで御意見御質問をお送り下さい。

誹謗中傷を目的としたような常識に反するもの以外、お返事させていただきます。

nonbirishodo@mail.goo.ne.jp


定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。


ラベル:書道
posted by 華亭 at 12:54| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック