2006年09月12日

九成宮醴泉銘

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「臨書のすすめ」

まず第一回目は楷書、『九成宮醴泉銘』です。

初唐の三大家の一人、歐陽詢の代表的な書で、古来「楷法の極則」と呼ばれる名品です。

ここで詳細な解説など書かなくても、大抵の事は影印本に書いてありますし、ネットで調べようとすればいくらでも調べられますから、退屈な長話はやめておきますね。

ただ一つだけ。

前回の話どおり、ここでは

二玄社『中国法書選』

をもとに話を進めます。

これは単に、現在最も普及していて最も入手しやすい影印本と思われる、という理由に過ぎません。

『中国法書選』に所収の『九成宮醴泉銘』は、端方旧蔵のいわゆる『海内第一本』と呼ばれる三井文庫所蔵のものです。

『九成宮醴泉銘』の拓本で他に有名なものには、北京故宮博物館所蔵の『李祺本』があり、そちらは字画が『海内第一本』よりもやや太めで、趣が異なります。

ちなみに『李祺本』は二玄社の『原色法帖選』に所収されています。


最近では

「『李祺本』こそが『九成宮醴泉銘』の本面目だ」

という傾向もあるようですが、最旧拓の問題とともに、ここではその問題にはこれ以上触れません。(戻ってこれなくなりそうなので)

テキストにする場合にはどちらの拓をもとにした影印本でもかまいません。

両方学ぶ、ということであれば更に良いのは言うまでも無いことですが。


さて、

「九成宮なんて退屈・・・」

そう思ったあなた、節穴ですよ。


このブログを読んでいる皆さんの中にも、スキャナやデジタルカメラを持っているという人がたくさんいると思います。

試しにどれか一文字パソコンに取り込んで、点画の一部をほんの少しだけ加工してみてください。

「ほんの少し」というのがポイントです。

ほんの少し長さや太さや空間の粗密を変えてみただけで、その文字が保っているバランスが全く成り立たなくなってしまうことに気が付くはずです。

それ以上でもそれ以下でもない、全く過不足の無い絶妙のバランスで、この書の姿は構築されているのです。


『九成宮醴泉銘』というと、規矩に則った端正な姿としてイメージされている場合が多いかと思いますが、本当の凄さは実はこの絶妙なバランスにこそあります。

それを確かめてみる為の一つの方法が、前述した「加工」という方法なのです。

寸分の隙も無く構築されたバランスは、あまりに自然に全ての点画が収まっているために、それをただぼんやりと見ているだけではなかなか気付きにくいかもしれませんが、そのバランスを「ほんの少し」崩してみると、

「なるほどなぁ」

と感じやすくなると思います。


筆の使い方の枝葉末節だけを真似して「歐法」気取りになるのは、もう止めにしませんか。


最初は最低でも半紙に4文字大の大きさから始めましょう。

それよりも小さいと、自分の書いたものの粗が、自分で気付きにくくなります。

そして、とにもかくにも出来るだけそっくりに書こうと努力すること、つまり完璧な形臨です。


臨書の考え方について話し始めると、脱線したまま戻ってこれなくなりそうですから止めておきますが、

「そっくりに書けたところで何の意味がある?」

という意見には

「そういう意見は本当にそっくりに書けるようになってからにしましょう」

とだけお答えし、

「そんな臨書の仕方では型にはまって抜け出せなくなる」

という意見には

「我々凡人が10回や20回、全臨を繰り返したところで、型にはまることすら出来ませんよ」

とだけお答えしておきます。


実際に書く際には、このブログでも「基本って何?」という記事でも同様のことを書きましたが、一本の線を引く時に、

「筆圧を一定に保つこと」

「そのために送筆の速度を一定に保つこと」

という点が重要です。


「トン! スーッ トン!」

なんていう引き方をしていたのでは、それこそ時間と紙墨の無駄になるだけで、一生かかっても上達することなど期待出来ません。


最初は影印本の文字を、拡大コピーやパソコンでの加工によって半紙4文字大まで拡大して、それを手本にするのも良いかもしれません。


慣れてきたら影印本そのままの大きさを見ながらでも、思い通りの大きさに書けるようになります。


何度も全臨を繰り返すうちに、慣れれば2日間程度で全臨1回が出来るようになると思いますが、最初は一日4文字だけでも構わないので、じっくり取り組んで下さい。


繰り返しますが、とにかく「そっくり」にですよ。

「そっくりに書けるようになることの意味」

なんてものは、後からちゃんと付いてきます。

と言うよりも、そっくりに書けるようになった頃には、ちゃんと自分でその意味に気付いているはずです。


次回は何にしましょうか。

それではまた。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

「何だか下手な事を書いたら説教されそう・・・」

という方、また、通信添削について御質問のある方は、下記のアドレスまで御意見御質問をお送り下さい。

誹謗中傷を目的としたような常識に反するもの以外、お返事させていただきます。

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。
ラベル:書道
posted by 華亭 at 10:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨書のすすめ 楷書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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