2006年08月27日

技術って本当にいらないの?その2

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前回は

「技術は絶対に必要」

そして

「たとえ技術的な部分は破綻していたとしても、もっと自分の思うがままに、感じるがままに書くべきだ」

という考え方を、習い始めて間もない人達にまで当てはめて語ろうとすることは、

「絶対に間違っている」

というところまででした。


今回はその続き。


高度な技術を自分のものにした上で、換言すれば自分の中にあるイメージを具現化するための道具を手に入れた上で、その道具を使うのかどうかは、その人なりの違いがあるでしょうし、自分の中にあるイメージによって、使う道具も変わってくるでしょう。

しかし具現化するための道具を持っていない人には、それを具現化することなど出来ません。


自分自身は十分な道具を手に入れた上でそれらを取捨選択しながら使いこなしておきながら、これからそれらを一つ一つ手に入れようとしている段階の人達に

「技術は重要ではない」

と結論だけを言ってしまうのは、私に言わせればあまりに無責任です。


今回もバイオリンに例えてみましょう。

先生はしっかりとした美しい音色を出すことが出来ます。(当然です)

バイオリンを始めて間もないあなたはまともな音を出すことすら出来ません。(これまた当然です)

先生が美しい音色で美しい旋律を奏でながら

「技術なんて重要ではありませんよ。あなたの感じるままに弾いてください。それが音楽です。それがあなたの個性です。」

と言われたらどうですか?

あなたは先生の話を鵜呑みにして、ギーギーと騒音を立て始めますか?

私なら、その場でその先生の教室をやめるでしょう。


技術は絶対に必要です。絶対にです。

「道具としての技術を手に入れて、さて、何を表現するのか?」

それこそが、本当の問題なのは言うまでも無いことですし、手にした道具を使う事自体が目的になってしまっては本末転倒であることも事実です。

「技術偏重」

と現代の書道が非難される理由もそこにあるのだと思います。

しかし、道具を準備するというのは言わば

「表現するための準備をする」

ということですから、その前提を無視した表現などありえません。


既成の書の概念を根底から問い直した戦後の前衛運動。

その嚆矢となった比田井南谷や上田桑鳩。

彼らの手にしていた技術のレベルは、常人が一生かけても到達出来るようなものではありませんでした。

技術という概念からは最も離れた場所に行ってしまったように見える井上有一ですら同様です。

彼らは知っていました。

「生きた線とは何か?本物の書とは何か?」

ということを。

そして、しっかりと手にしていたのです。

それらを実現するための道具を。

そして何よりも、その道具を手にするための労力を惜しみませんでした。


その上で、自分に本当に必要な道具を取捨選択したのです。


取捨選択するものが何もない人間が、捨てるも選ぶも出来るわけがありません。

破綻するだけの技術が無いのに、

「例え技術的な部分が破綻していたとしても」

などという言葉を鵜呑みにしてみても、何の意味もありません。


「技術など重要ではない」

という言葉は、学び始めて間もない人達にとっては、何とも魅力的で都合の良い言葉でしょう。

しかし、それに惑わされて勘違いしたままの人の何と多いことか。

そしてその勘違いに気付かないまま、とんでもない騒音をがなり立て続け、悦に入っている人の何と多いことか。

更にはそのまま「先生」と呼ばれるような立場に立ち、全くのデタラメを人様に垂れ流し続けている人間の何と多いことか。


それでも本人が満足しているのであれば、傍からとやかく言うことではないのかもしれません。

しかし、忘れてはいけません。

分かっている人間もいるのです。

どれが本物でどれが偽者かということを。


彼らは冷ややかな目で、そんな偽者を見ていますよ。


どうせ手間暇かけてやるのなら、本物を目指した方が良くはありませんか。


今回はここまでにします。

次回は何の話にしましょうか。

それではまた。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

「何だか下手な事を書いたら説教されそう・・・」

という方、また、通信添削について御質問のある方は、下記のアドレスまで御意見御質問をお送り下さい。

誹謗中傷を目的としたような常識に反するもの以外、お返事させていただきます。

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。
posted by 華亭 at 09:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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