2011年05月18日

右上がりあれこれ。その3

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今回は右上がりについて。

右上がりについては以前も書いた事がありますが、今回は少し視点を変えて、

「右上がりに書きたいのに書けない」

という場合の、ある1つの原因について考えてみたいと思います。

結論から言えば、

「上がる為には下がっておく。」

という事になるのですが、これだけでは何の事だか分からないでしょうから、もう少し説明してみましょう。


これを見て下さい。

『書譜』から「間」という文字を採りました。

『書譜』「間」

見ての通り1画目が右上がりになっていますね。

これを例えば半紙に6文字大で書く場合の1文字目に書いたとします。


その時、右上がりに書こうとしたのに思った程に右上がりにならずに水平に近い角度になってしまう人がいます。

今、「思った程に」と書きましたが、実際には本人はその事を自覚出来ていない場合が殆んどかもしれません。

とにかく右上がりにならなかったとしましょう。

この原因としてよく見られるのが、1画目の入筆位置が「高過ぎる」というパターンです。

入筆位置が高過ぎると、そこから更に右上がりにしようと思っても、半紙上部の余白が狭くなり過ぎるように感じてしまうのでしょう。

結果として、右上がりに出来ずに終わってしまいます。

これは何も1文字目に限った話ではなく、何処でも全く同じなのですが、例えば2文字目以降に書く場合、入筆位置が高過ぎてしまうと、上の字との字間が狭くなり過ぎてしまうか、上の字にぶつかってしまうか、といった事になり、それを避けたいが為に、やはり右上がりに出来なくなってしまうのです。

つまり、右上がりにする為には、先ず入筆位置をしっかりと下げておく必要があるのです。

低い位置に入筆するからこそ、右上がりに出来るのですから。

特に2文字目以降の場合、入筆位置を下げるというのは、皆さん字間が広くなり過ぎてしまうように感じてしまうようで、なかなか思い切って下げる事が出来ません。

この問題の元々の原因を更に辿れば、1文字書き上がった時の全体像をしっかりイメージしないままに入筆してしまうからこそ、上が詰まってしまうのですが、とにかく、しっかり上がる為にはしっかり下がっておかなければなりません。

これが足らないと、右上がりになりきれなかった部分に押し下げられる形で、その字全体の右上がりが足らない、という結果になります。


先ずは横画の例から見てもらいましたが、次はこれです。

これもやはり『書譜』から「落」を採りました。

『書譜』「落」

この最初の2画、草冠の一部分ですが、この1画目でも全く同様の事が起こります。

つまり、1画目の位置を思い切って下げておかないと、2画目の位置をそれより高く出来なくなってしまうのです。


次はこれです。

『高野切第三種』「ふりけるを」

『高野切第三種』から「ふりけるを」の部分です。

これは厳密には右上がりとは少し違う話かもしれませんが、字間が詰まってしまうという意味では全く同じ状況です。

この場合、「ふ」から「り(利)」、「り(利)」から「け」、「け」から「る」、「る」から「を」へとそれぞれ連綿させる時、その連綿が短いと、つまりは下がり方が足らないと、結果として書き上がった時に上との字間が詰まってしまうのです。

1行臨書してみたら、書き終わった位置が原帖より高い位置で終わってしまった、というような場合、殆んどがこのパターンでしょう。


字間が詰まってしまうというパターンについては他にも色々あるのですが、今回のテーマからどんどん外れていってしまいそうなので、それについてはまた改めて。


今回紹介した何れのパターンもよく見られるものですから、皆さんも自分の書いたものを見直してみて下さいね。

今日はここまで。

それではまた。


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ラベル:書道 通信添削
posted by 華亭 at 23:20| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
5月に入って何度も更新されていて、嬉しく読ませていただいています。

今回の右上がり、書く前のイメージが大切なのですね。
全体のイメージを持たずに筆順を追って書いてしまいがちだったので、
これからは気をつけてみようと思います。
Posted by 芝風 at 2011年05月21日 11:06
芝風様

コメント有難う御座います。

理想で言えば私の説く理屈など一切無しに書ければそれが一番良いのですが、そこに辿り着くまでの段階の1つとして、「書く前に」よくよくイメージして確認しておく、という方法を提言させて頂いています。

何かしらの御参考になりましたら幸いです。

それでは。
Posted by 華亭 at 2011年05月21日 13:21
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