2011年05月09日

春の憂鬱

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毎年この季節になると、少々憂鬱になる事があります。

とは言っても花粉症の事ではありません。


それは、この4月に中学生になった生徒の中で、教室を辞めてしまう子が必ず数人いる事なんです。

今年も既に何人か辞めてしまいました。

それまで何年間も休まず頑張り続けてきたような子であっても、この「中学進学の壁」を越えられる子はほんの一部に過ぎません。


確かに中学生になると部活に入ったり塾に通ったりと、小学生の時までよりも格段に忙しくなりますから、なかなか書の教室になど通いきれなくなってしまうのが実情なのでしょうし、優先順位を考えた場合、必然的に書の教室は「落選」となってしまうのでしょう。


それは分かっています。


そもそもそれまでの数年間で、書の教室に通うという事に対して「落選」してしまう程度の価値しか生徒本人やその親御さんに与える事が出来なかったのは、私の力不足以外の何物でもないのですから、それについてここで愚痴をこぼすのは筋違いというものでしょう。


それも分かっています。

分かってはいるのですが…


正直、

「勿体無いなぁ…」

と思わざるを得ないのです。


何故なら、彼らはこれからこそが本当に上達していくのだと思うからです。


うちの教室では一番下は幼稚園保育園の年長さんの年齢からお預りしますが、そのような小さな子供の場合は特に、大人に教える時のように理屈として説明する事が出来ません。

そんな理屈としての説明などしてみても、子供には理解出来ないのですから。

尤も大人の場合には、

「きちんと理屈として説明されて納得して(したつもりになって)からでないと、先生に言われた通りにやろうとしない。」

という極めて厄介な面がありますから(苦笑)、どちらが良いか悪いか、どちらが教えるのに楽か、といった問題ではないのですが、とにかく子供に理屈は通用しません。

子供逹には、一切の理屈抜きで、文字通り手取り足取りしながら、全てを体で覚えてもらうしかないのです。

これには教える側とすると大変な手間と忍耐とが必要となりますし、子供によって一つ一つの事を習得するまでの期間に非常に大きな個人差もあるのですが、それでも少しずつ、本人のものとして身に付いていく事も確かです。


と同時に、小学生も高学年になるにつれて少しずつ理屈としての説明が理解出来るようにもなっていきます。

そして、私の説明を、それまでの自分自身の習得からなる蓄積に基づきながら本当の意味で

「なるほどなるほど」

と納得して書けるようになっていくのが、これからなのです。

つまり、実践と理屈のバランスが取れてくるんですよ。


そうなると、自分が書いたものの何処が良くないのか、それは何故なのか、といった事が自分で判断出来るようになっていきますから、

「次の一枚を書く前に気を付けておくべき事」

をしっかり認識しながら書けるようになっていくのです。

そうなれば、それまでとは違った面白さも見えてくるでしょうし、それまでは

「親に言われるから仕方無く」

だったものが、自発的な意識の上に教室に通えるようにもなるのです。

ようやくその段階に足を踏み入れつつある正にその時に、辞めてしまうんですよねぇ…


中には6年生になるのを前に

「中学受験の準備に入るので1年間お休みさせて下さい。」

と言っていた子が、無事に受験を終え、本当に言葉通りに戻ってきてくれる、なんていう嬉しい事もあるのですが、それはほんの一部の例に過ぎません。


はぁ…

今年は何人が壁を越えてくれるのでしょうか?


再開した途端、愚痴全開になってしまいました(苦笑)

それではまた。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。

ラベル:書道 通信添削
posted by 華亭 at 21:33| Comment(9) | TrackBack(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なるほど〜
確かに・・・・切ない時期ですね。

私の場合、塾では無かったですが
1.水泳(週6)
2.ピアノ(週1)
と多忙で小学校の頃からやりたかったけれど、
優先順位で「落第」してました(涙)

でも、大人になってから始めましたけど楽しいですよ♪
本当に好きでお習字がやりたかったら、いずれ戻ってくるのではないでしょうか?



Posted by COCO at 2011年05月10日 14:13
COCO様

コメントありがとうございます。

まぁ、そもそも私の仕事は「未来の書の先生」を育て上げる事ではありませんしね。

彼らが将来、自分にとって大切な手紙などを書く時に、私に言われ続けたはずの「丁寧に書きなさい」という一言を思い出してくれたら、それで満足です。
Posted by 華亭 at 2011年05月10日 14:50
ブログ再開下さり、感謝です。ワークショップのお話、本当に感動しました。翻ってわたしは・・・、とあらためて自問自答したことでした。さて今回のお話ですが、わたしは小学校一年から書道塾に通はされ、4年生の頃に自然消滅したクチですが、40過ぎになって復活しました。「の」の字を先生に文字通り手をとって教へて貰ったこと、今なほ鮮明に憶えてゐます。こんなパターンもあるかと。
Posted by holy at 2011年05月13日 15:21
holy様

コメント有難う御座います。

私の生徒達も何十年か経った時、私の稽古を思い出して再び筆を持ってくれるような日が来るのでしょうか?

尤もその時私は既にこの世にいないかもしれませんが(笑)

彼らの子供を教えるような日が来たら、それはそれでとても嬉しいでしょうね。

何れにしても、今の私に出来る精一杯をやり続けるしかないのでしょう。

未来の事は未来に任せます(笑)
Posted by 華亭 at 2011年05月13日 16:57
御多忙のなか御回答賜り、深謝申し上げます。田舎に帰りました時、かつての書道の先生のことが気になり、級友に尋ねますと、もはやその書道塾はなく先生の存否も不明とのことでした。ああ哀しいかな。まことに浦島太郎になったやうな気分になりました。それはともかくとしまして、ある日、勤務先に老婦人が来社されまして、立ち話をしてをりますと、小脇に中国法書選をかかへてゐられるのに気付きまして、「漢文が好きで顔真卿の巻等、中国法書選で勉強したことがありますよ」とお話しましたら、実は書道塾を経営してゐて、拡大コピーをしようとコンビニに立ち寄る積りだったとのこと。そこで漢文や書道のことども話に花が咲きましてお別れしたのですが、後日、筆と法帖をどっさり頂戴しまして、それからわたしの書道復活は始まりました。かつての書道の先生が生きてゐられれば、その老婦人先生の80うん歳の御年でございませう。時と所を超えて、書道教授の熱意が「懦夫」を動かしたわけであります。こんなパターンもあるかと存じます。ながながと失礼しました。
Posted by holy at 2011年05月14日 14:13
holy様

老夫婦の話、素敵な御縁ですね。

書との結び付きのきっかけは本当に様々なのだと改めて思いました。

holy様との御縁も大切にさせて頂きたいと思います。

それでは。
Posted by 華亭 at 2011年05月14日 21:12
恐縮です。こちらこそ今後とも御指導のほど宜しくお願ひ申し上げます。
Posted by holy at 2011年05月15日 16:42
こんにちは。ブログが再開されて嬉しいです。
今回の話題ですが、私は中2の秋に脱落しました。ライバルでもあった親友
(引っ越すまで同じ教室に通っていた)が書いた紺地に金泥の般若心経の出来映えに 
衝撃を受けたからです。
その時の気持ちなどを書き込むと華亭先生に厳しくつっこまれそうなので、省略します(^^;)

ですが、30代になり、縁あってまた元の先生のもとに通うことになりました。
今回は再び脱落することはないと思います。今でもその時のことを思い出すと胸が
ちくりと痛みます。今度その友人と会ったら、そのことを打ち明けてみようと思います。


Posted by くろすけ at 2011年05月16日 17:37
くろすけ様

コメント有難う御座います。

止める理由も人それぞれですね。

その時衝撃を受けた友達の作品、今御覧になったらきっと「あれっ?こんなものだったの?」と感じると思いますよ。

私は大学の書道サークル(諸事情で半年ちょっとで辞めてしまいましたが)の先輩に仮名の作品を頂いた事がありました。

仮名など書いた事も無かったその時の私には、正直言って良いのか悪いのかさえ分かりませんでしたが、この仕事を初めて半年足らずの時、たまたま押入れの奥からその作品が出てきたので見てみました。

驚きましたよ。
先輩には申し訳ありませんが、それはとても作品などと呼べるようなレベルのものではなかったのですから。

私の事はさておき、せっかくまた筆を持たれたのですから、今度は御自身のペースで、書と関わり続けて下さい。

御質問など御座いましたらいつでも大歓迎です。

それでは。
Posted by 華亭 at 2011年05月16日 21:53
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