2009年10月27日

客観的に

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今回は一つの提案をしてみようと思います。

それは

「自分が書いているところをビデオに撮ってみよう。」

というものです。


筆の使い方を覚えるという事は、自分の体の動かし方、つまりは筋肉の動かし方を体に覚え込ませる事に他ならない、というのはこのブログでこれまでにも何度も話してきた事ですが、自分が実際どのように自分の体を動かしているのかというのは、実は自分ではなかなか分からないものです。

書の場合、自分の体をどのように動かしているのかというのは、その結果である書いたものに寸分違わず現れているわけですが、初学者が自分の書いたものから自分の体の動きをイメージするというのは無理な話ですし、初学者ではなくとも、実際に撮った映像を見てみると、思わぬ発見があるはずです。


スポーツ選手でしたら、自分のプレイや競技の映像を自分で見て確認検討するというのは今や当たり前の事なのだと思いますが、書でそれと同じ事をしている、という話は(少なくとも私は)聞いた事がありません。

YouTubeを探してみると(玉石混淆ではありますが)揮毫の様子を撮影した動画が色々とありますし、大家の揮毫の様子を撮影したビデオも販売されていますから、それら自分以外の人が書いているものを見た事がある人は少なくないでしょうが、自分を撮ってみようとする人は殆んどいないのではないでしょうか。


結果としての書いたものにばかり気を取られ、それが

「どのように書かれたのか?」

という部分はないがしろになってしまう、というのは書の場合には無理もない話なのかもしれませんが、体を動かす事によって書が書かれているからには、それがどのように書かれたのか、つまりは体をどのように動かしていたのか、について考える事は決して無駄ではないはずですし、更に言えば、(映像として見るか否かは別として)それに対する自己分析や検討無しには、次の一枚の密度を可能な限り高めていく事など出来ません。


そこで、

「自分はどのようにして書いていたのか?」

について、最も簡単に確認出来る方法として挙げるのが、今回の

「自分が書いているところをビデオに撮ってみよう。」

という提案なのです。


実際に撮ってみると、筆の持ち方から始まって実に様々な事を客観的に見る事が出来るはずです。


話が逸れますが、私は以前、スノーボードに夢中になっていた時期がありまして、休みの度に一人でゲレンデに行っては一日中滑っていました。

友達と行くとどうしても「遊び」が主体になりますし、自分のペースで練習出来ないので、「練習」をしたかった私は一人で行く事が多かったのですが、それでも時には友達とも行きますから、そんな時に必ずやっていたのが、お互いの滑りをビデオに撮ってみる、という事でした。

自分の滑りを映像として外から客観的に見てみると、自分では気付いていなかった問題点が一目瞭然となるからです。


書の場合にもそれと同様に、例えば私がよく言う「同筆圧同速度」の「同速度」についても、自分では「同速度」で送筆しているつもりだったのに実際には全然出来ていない、というような事が、映像として見るといとも簡単に自分自身ではっきりと確認出来るのです。

つまり、自分では

「正しくやっているつもり」

でいたものが本当に正しく出来ていたのかどうか、それを自分自身で客観的に確認出来るのです。

それによって改めて先生からの指摘の意味が本当の意味で理解出来る、という事もあるでしょう。


「百聞不如一見」ですから、

「まだ送筆が速いよ。」

と百回先生に言われ続けるよりも、一回自分で映像として見た方が話が早いかもしれません。


こんなに良い方法を使ってみない手はありませんよ(笑)

というわけで、今回は少々異色の提案でした。


それではまた。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。

ラベル:書道 通信添削
posted by 華亭 at 19:59| Comment(4) | TrackBack(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは、初めましていつも楽しく勉強させて頂いております。
さて、ビデオですが、ネットで以下のようなビデオがあります。
九成宮礼泉銘の臨書だと思いますが、このビデオのように「後なで」するような
書法もアリなのでしょうか?

http://www.youtube.com/watch?v=7Krxrwou5AY&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=bEgeR9jiptM&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=S11CsE8kzMY&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=3HIg6VQ8KKI&feature=related

「後なで」は悪いクセがつくので一発でキメろって昔教わったのですが・・・。
横画一本もひけない私ですが、なお更悩んでしまひます。
Posted by win at 2009年10月29日 22:03
win様
はじめまして。
コメント有難う御座います。

早速ですが、「後なで」というのがどのような筆使いを指すのか
はっきりしませんが、収筆の際の事でしょうか?

そうだと仮定してお話します。

一言で是非を申し上げるのは難しいのですが、御指摘の動画に
ついてのみ申し上げれば、あれはやり過ぎだと思います。

あれ程捏ね繰り回さなくとも書けるはずですから。

私としてはそれよりも、始筆時の一度軽く逆から入れるやり方の方に
強い違和感を覚えました。

解説らしきものを喋っているようですが、日本語ではないので
私には分かりませんし・・・

何れにせよ、あの手の動画を見ても、それらを実際的な参考にする
というのはなかなか難しいかと思います。

何故なら動画を見ても「何処が本当に参考にすべき点なのか」について、
御自身で判断する事自体が難しいでしょうから。

ですから、「へ〜、こういう書き方をする人もいるのか。」くらいに
捉えておいた方が良いかと思います。

御質問への回答となったでしょうか?
更なる御質問がありましたらどうぞ御遠慮無く。

Posted by 華亭 at 2009年10月30日 00:34
華亭 様

早速のご回答ありがとうございます。
言葉たらずでご迷惑をおかけしすみませんでした。

ご指摘のとおり、「後なで」は収筆の際の絵を描くような筆づかいで、墨の上に墨を重ねて描くようなやり方の表現でした。
また、始筆時の逆筆もたぶん「蔵峰」にするためだと思われますが、これも絵を描くように大袈裟ですね。
ただ、出来上がりの字を見るかぎり、非常にシャープな線で「九成宮礼泉銘」にそっくりに見えて惑わされてしまいます。


>御質問への回答となったでしょうか?
はい、完璧です。
大変参考になりました。ありがとうございます。

「九成宮礼泉銘」の線はあの動画のようにこねくり回さずとも、「普通」のやり方でよいということですね。
まあ私にとって「普通」が一番難かしいのですが・・・。
Posted by win at 2009年10月30日 09:25
win様

お役に立てましたようで安心しました。

始筆時の逆筆についてですが、実際のあの線は「蔵峰」にはなっていないわけで、
ですから「何の為の逆筆?」と思った事からの私の違和感でした。

因みにあの線は「シャープ」と呼ぶべき線とは少々異なると思いますよ。

皆さんにはこの辺りの判断がなかなか付かない、というのが、

「実際的な参考にするというのはなかなか難しい」

と申し上げた理由です。

それよりも、文鎮を使用していながらも、紙がフカフカ浮いたような状態のままで
書いている、というのが日本人とは異なる部分で面白いですね。

台湾にせよ大陸にせよ、あちらの人達はあのように紙をピンとさせないまま
平気な顔をして書く事が多いようなのですが、私にはそれが何とも
気になって仕方がありません(笑)

話が脱線しました。

これからも「のんびり」とアップしていく予定ですので宜しくお願いします。

また御質問がありましたらどうぞ御遠慮無く。


Posted by 華亭 at 2009年10月31日 12:14
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