2009年07月27日

手間暇。その2

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早速前回の続きです。

「磨けば光りそう」な石を手に入れる事が出来たとして、次は実際に「磨く」行程に入るわけですが、自分で石をピカピカにまで磨き上げる為のポイントとは何でしょうか?


これには一つしかありません。

そうです。

「手間暇をかける。」

という事です。


特別な難しい技術など何も必要ありませんが、手間隙だけは絶対的に必要で、それを惜しんでいてはピカピカにはなってくれません。


ではもう少し具体的に、どのように手間暇をかければよいのでしょうか。


私は基本的には磨く為に耐水ペーパーを使用しています。

耐水ペーパーとは、簡単に言うと、水で濡らして使える紙やすりの事ですね。

篆刻をやっている人なら、印面を整える為に使いますから既に持っているでしょう。

その場合、耐水ペーパーではなく普通の紙やすりかもしれませんが、濡らしながら研磨する方が滑らかにいくので、私は耐水ペーパーを使用しています。

そしてこの耐水ペーパー、数種類の番手を用意しています。

因みに私が使っているのは#240、#800、#1200、#1500、#2000、#3000です。(番手の数が大きい程細かい。)

#1500くらいまでなら、ホームセンター等で簡単に手に入る筈ですが、それ以上細かいものは店頭には無い場合もあるかもしれません。(その場合は取り寄せ注文ですね。)


#240はかなり粗いですから、篆刻では刻してある印面を潰す時くらいにしか使いませんが、ここでは自分で切り出した石のおおよその形を整えるのに使います。


後はとにかく順番に細かい番手にしながら、ひたすら磨いていくわけです。

但し、「磨く」とは言っても、実際には削っているわけですからその事を忘れてはいけません。

#1500くらいまでは、「磨く」というよりも「形を整える」「傷を消す」という意味合いの方が強いと思って良いでしょうね。


因みに、磨いた石の印面にその後で実際に何か刻しようと思っている場合、この辺りの段階で先に刻してしまった方が良いと思います。

何故なら、ホントにピカピカにまで仕上げてから刻そうとすると、せっかく苦労して磨き上げたのに、刻する時に出る石の破片等で知らないうちに傷を付けてそれまで磨き上げた苦労を台無しにしてしまう危険性があるからです。


さて、#2000くらいからが本当の意味で「磨く」という感覚に入っていくわけですが、この時に大切な事は、

「とにかく気長に丁寧に。」

という事でしょう。

かなり面倒な作業ですから、ついつい

「まぁ、この程度でいいか。次の番手に進もう。」

と考えてしまいがちになるのですが、この時点で既に研磨剤の粒子はかなり細かいものになっていますから、今使っている番手で出来る限りの事をしておかないと、更に細かい番手になってから、「まぁいいか。」と妥協した部分の出来を取り戻す事など、到底出来る話ではありません。

今の番手で可能な限りの事をしておいてから、更に細かい番手に進むようにしましょう。


さて、そうして無事に#3000までの行程が終わったとします。

この時点でもかなりキレイになっている筈ですが、本当のホントに「磨く」にはこれから先こそが本番です。

その為には先ず、研磨するものを入手しなければなりませんが、これがなかなか難しい。

私は超精密研磨フィルムというものを使っていて、これだと番手が#15000くらいまでのものがホームセンターでも入手可能です。(無い場合にはこれまた取り寄せ注文になりますが。)

これも耐水ペーパーと同様に水で濡らしながら研磨出来るものですが、余りにも粒子が細かいので、使っていても果たしてホントに磨けているのかどうか、#10000以上になるとその実感は殆んどありません(笑)


実は以前は超微粒子の研磨パウダーというものを使っていました。

当時の弟子の一人が見付けて買ってきてくれたのです。

番手で言うと最微で#30000!

ここまでくると、触ってみても只の粉にしか思えません(笑)

これを使うと正に鏡面仕上げ。

信じられない程の仕上がりになるのですが、数年前の引っ越しの際に紛失してしまい、そのまま行方不明になってしまいました(泣)

しかも、引っ越しの前にその弟子が教室を辞めてしまっていて、何処で買ったのかを訊いておかなかったものですから、更には製品名もメーカーも分からず、買い直そうにも買えずに今に至ります。(今更辞めた弟子に電話して訊くのもさすがに気まずいでしょう(苦笑))

ネットで色々探してはいるのですが、「これだ!」という製品は見付からず、それで現在では仕方無く、研磨フィルムで我慢しているのです。

それでもかなり満足のいく仕上がりまで出来るので、興味のある人は研磨フィルムを試してみて下さい。

それから研磨パウダーについて、何か御存知の方は教えて頂けると嬉しいです。


「車のキズ消しとかで使う液体のコンパウンドではダメ?」

と思うかもしれませんが、コンパウンドの溶剤の成分と石との相性によっては、石の半透明性を濁らせてしまう可能性が無いわけではありませんので、念の為ここではお薦めしません。


さて、これから先は最終段階の磨きですから、これまで以上に丁寧に、じっくりと、念入りに「手間隙」をかけて磨いていかなくてはなりません。

それこそ極めて微細な粒子での研磨ですから、慌てて結果を求めてみても、そう簡単にはいきません。

とにかく慌てず焦らず根気良くいく事が、結果として一番の近道になりますから、頑張りましょう。


とまぁ、ここまで順を追って磨いてきましたが。

さぁ、どうですか?

最初の状態とは比較にならないくらいにピカピカになったはずです。

自分で手間暇かけたものが信じられない程にピカピカになってくれると、とても嬉しいですよ。


先述のパウダーを買ってきてくれた弟子は、私が石を磨き上げたと聞くといつも我先にと買い求めてコレクションしていましたが(恐らく20〜30個くらいは集まっていたのではないかと思います。)、これも言ってみればコレクションしたくなる程にキレイになるという一つの証です。


「えっ?せっかく手間暇かけて磨き上げたのに売っちゃうの?」

と思われるかもしれませんが、私は磨き上げる行程自体が楽しく、磨き上げたものが素晴らしくピカピカになる事が嬉しいから磨くのであって、自分でコレクションする為に磨いているのではありません。

元々は注文を受けた雅印の石の見映えを整える為に始めた事でしたが、それが段々とエスカレートしていったもので、今回掲載した石も、教室で希望者がいれば売ってしまうつもりです。


あ、ですからもしも欲しいという方がいましたら、お売りしますのでメールでお問い合わせ下さい。

因みに今回掲載した石は小さいのでどちらの石も1万円です。(この値段を高いと思うか安いと思うかは人それぞれでしょうね(笑))

印材1-1 印材1-2 印材1-3
印材1


印材2-1 印材2-2 印材2-3
印材2


妙な話をするようですが、思えば私は子供の頃から「ヤスリがけ」が好きでした。

父の日曜大工(今で言うDIYですね)で出た木材の切れ端をもらっては、紙やすりをかけて遊んでいたのを思い出します。

最初はザラザラだった木片が、やすりをかける程にツルツルになっていくのが嬉しくて、角材の面取りが滑らかに出来た時などには更に乾いた布でせっせとこすってツヤを出しては喜んでいました。

我ながら変な子供だと思います(笑)

自分自身で手間暇をかけた分だけ、その結果が目の前にはっきりとした形で現れる、というのが子供心にも嬉しかったのでしょう。


でも実はそれって、書も全く同じだと思うのです。

もっとも書の場合には磨き上げるのは石ではなく自分自身の腕ですが。


書も、手間暇をかけた分だけ必ず結果は出てくれます。

もしも結果が思うように出ないように感じるとしたら、それはその時に使うべき番手ではないもので磨いて(磨いているつもりになって)いるか、かけた手間暇が足らないか、そのどちらかという事でしょう。

まだ表面がザラザラな時に、事を急いで細かい番手で磨こうとしてみてもピカピカになどなってくれませんし、適切な番手を選んでいたとしても、ピカピカになるまでにはそれ相当の時間がかかります。

つまり、間違った磨き上げ方をしている場合やかける手間暇が足らない場合にも、やはりその通りの過不足の無い結果が出ているのです。


この最も基本的な事実から目をそらしていたのでは、絶対に自分の望んだ通りの結果は出てくれません。

絶対に、です。


と、最後は半ば無理矢理に書に話をもっていきましたが(笑)、難しい話は抜きにして、皆さんも一度、石を磨いてみては如何ですか?

それではまた。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。

ラベル:書道
posted by 華亭 at 07:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 篆刻のすすめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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