2009年02月14日

質と量。その3

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前回は

そもそも「上手く」ってどんなものですか?

という私の質問に

「先生の手本と同じような字」

と思ったあなたへ、

「ちょっと違う」

というところまででしたね。


今あなたが挙げた

「先生の手本と同じような」

という例は、実は既に具体的な意識です。


これは、私に「上手く」という曖昧なものについて質問されたあなたが、それに説明を付けようとして考えてみた結果として導き出した答に過ぎません。

説明を付ける為には具体的である必要がありますから、導き出された答(「先生の手本と同じような」という意識)は必然的に多少なりとも具体的なものになるわけです。

ですからその時点で既に

「上手く書こう」

と只漠然と思っていた時点までの「上手く」とは、その中身が違うのです。(私の言いたい事、分かりますか?)


単なる屁理屈に聞こえるでしょうが(笑)、このような意識の具体化を、どこまで詳細に「実際に書く前に」しておく事が出来るのか、というのが、極めて重要なのです。


別の言い方をするならですね。

前回、「上手く」という意識は曖昧だと言いましたが、「上手く」という言葉には、余りにも多くの意味が含まれ過ぎているのです。(だからこそ曖昧なのです。)

その余りにも多くのものが含まれてしまっている中から、その時点で最も重要な点だけを抽出し、そこに意識を集中する事が大切なのです。

この過程こそが、私が言う「意識の具体化」に他なりません。


「そんな事言われても、どこが重要なのかなんて、分からないよ…」

と思いますよね。


そこで、先生の登場です。

その為にこその先生なのですし、だからこその

「どう教わるか?」

なのですから。


「ちっとも書けない、上達しない。」

という結果には、必ず何らかの原因があるはずです。

その原因を探る事なく結果だけを一喜一憂しているだけでは、結果はいつまでたっても変化しません。

その原因の中で、その時点でのその人にとって、次の一歩の為に最も重要な点を指し示すのが先生の役目です。

にも関わらず、先生の話を馬耳東風なのでは(「無意味」の回参照)、これまたやはり上達など望むべくもないではありませんか。


今から書こうとする一枚(一字、更には一点一画)に対して、(先生からの指摘をもとにしながら)どれだけ自分の意識の密度を高く出来るか?

これこそが、私が言いたい「質」なのです。(以上の理由から、独学がどれ程困難なものであるかという事も分かるでしょう。)


この「質」を出来うる限り高めた上で、その次に初めて問題になるのが、「量」なのです。


先程「何らかの原因」と言いましたが、端的に言えば、それは「質」か「量」か、そのどちらかにある筈です。

しかし殆んどの場合、それは「質」にあると言っても過言ではありません。


「質」を無視したまま「量」だけを増やしてみたところで、そんな「量」には決して結果は伴ってはくれません。

ですから「質」を無視したまま「量」も足らない、という状態なのでは、それこそ結果など見るまでもないでしょう。


つまり、

「仮に『量』を犠牲にする事になったとしても、『質』を上げる努力をすべきだ。」

というのが、私の基本的な考え方なのです。


「質」を上げる為に最も手っ取り早い方法はと言うと、「もっと時間をかける」という事ですね。

この場合の「時間をかける」というのは、「筆を持つ時間(練習時間)を増やす」という意味ではありません。(それは「質」ではなく「量」の問題ですから。)

皆さんの場合、1日の中で筆を持つ為に割く事の出来る時間というのは限られているでしょうし、それ(「量」)を大幅に増やすというのはなかなか現実的に難しいでしょう。

ですから、筆を持つ時間を増やすという事についてはここでは無理に考えないとして、時間の使い方を見直してみるのです。


例えば1日50枚書く人がいたとして、それが1日10枚になってしまったとしても、1枚にかける時間を5倍に増やし、その1枚に対する意識の密度も、それまでの5倍にするつもりで書くのです。

すると、筆を持つ時間の長さは変わらないまま、書く枚数は1/5になってしまうわけですが、只漠然と50枚書いていた時の1枚とは、自ずとその中身が変わってくる筈です。

無闇やたらに50枚書いているより、こうして書く10枚の方が遥かに有益だと思うのですが、如何ですか?


ところがこれ。

私は今、簡単に

「1枚にかける時間を5倍に増やす」

と一口に言いましたが、皆さんの中にはこれを実際にやろうとすると、

「どうすれば今までの5倍も時間がかけられるの?」

と、途方に暮れる人も少なくないと思いますよ。


それはつまり、

「実際に書く前に、注意すべき点について具体的にしっかりと意識しておく。」

という、「意識の密度」を高める過程に慣れていないからであり、今までそれだけ何にも考えずに書いていたという証拠でもあるのです。


「それじゃ、どうしたらいいの?」

と思うかもしれませんが、私がこれまでこのブログのあちこちで書いてきた事こそが、そのヒントなのですから、「どうしたら?」と思った人はもう一度、これまでの記事をじっくり読んで下さい(笑)


さて、今回まで3回に亘り、「質と量」として話してきました。

「先生」という存在の意味を、今回の話に照らし合わせて考えてみれば、それは

「『質』を高める為の手助け」

という役目にこそあると言えるでしょう。


誤解してはいけません。

「質」を高めるのは自分自身であり、先生が高めてくれるのではありません。

何故なら、「質」とはあなた自身の意識の問題なのですから。


もう一度、日頃の自分を思い返してみて下さい。


この話はこれまで。

それではまた。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

「何だか下手な事を書いたら説教されそう・・・」

という方、また、通信添削について御質問のある方は、下記のアドレスまで御意見御質問をお送り下さい。

誹謗中傷を目的としたような常識に反するもの以外、お返事させていただきます。

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。

ラベル:書道
posted by 華亭 at 03:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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