2008年11月27日

小篆千字文(その前に)

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こんな事を始めてみようと思います。

「小篆千字文」

さぁ〜書いちゃったぞ〜、ホントに始めちゃったぞ〜、今更引くに引けないぞ〜(笑)


こんな面倒臭そうな事をどうして思い立ってしまったのかと言うとですね。

以前「臨書のすすめ 篆書」を書いた時、手放しで初学者に奨められる篆書の手本がなかなか無い事に困り果て、結局『泰山刻石』を紹介する事しか出来なかったのですが、その後もあれこれ考えたり探したりしたものの、やはり「これ」という答えが見付けられないままでした。

手本としての内容だけを考えるのであれば、全く無いわけではありませんが、初学者にとってはそれが入手しやすいという点も重要ですし、そこまで考慮するとなるとなかなか難しいのです。

しかし、初学者の参考になるものが何も無いというのも如何なものか、という思いも消えませんでした。

そこで、

「無いなら自分で書いちゃえ!」

となったのです。(そもそも教室ではいつもそうしているのですから。)


とは言うものの、以前「自分の書を載せない理由」でも書いたとおり、このブログには私が書いたものは載せたくありません(笑)

が、さんざん悩みに悩んだ末、

「小篆だし、まぁいいか。」

と、今回は載せる事にしました。

但し、「手本として」というのではなく、あくまで参考として、「小篆の一例として」私のイメージするものを載せてみようという試みです。


ところで先述の「臨書のすすめ」の更に前、「何から始めれば?篆書の場合」の回で、小林斗あん氏の『篆書千字文』について話しています。

小篆の学習には確かにあれでも何の問題も無いのですが、例えば『泰山刻石』を学んだ人が次に何をやろうかと考えた場合、いきなりあの字では字形が少々派手過ぎると思うのです。

派手過ぎるという表現が適切でなければ、装飾的過ぎるとしましょうか。

何にせよ、だからと言って今回書くにあたって説文そのままというのではせっかくなのに少々芸が無いかなとも思います。

「装飾的過ぎる」とは言ってもつまりは程度の問題ですから、小林氏のものを「控え目」と感じる人もいるでしょうし、反対に私のものを「装飾過多」という人もいるでしょう。

小林氏自身の言葉にもある通り、小林氏は呉譲之あたりを念頭に置いて書いたようですが、私は、説文と小林氏の中間、小林氏の千字文よりも装飾的要素を控え目にしたものをイメージする事にしました。

呉譲之の表現自体、清代諸家の中では随分と控え目な方に入りますが、それでも『泰山刻石』からの隔たりは少なくありません。

そこで私としては、篆書を学ぼうという人にとって、『泰山刻石』から清代諸家への橋渡しとなるようなものを目指したわけです。


とは言うものの、一口に「書いちゃえ。」とは言っても、書いたものをブログに載せる以上は適当にという訳にもいきません。

たかがブログ、されどブログですからね(笑)


今回この試みを始めるにあたり、先ずは小林氏の書いた千字文をそのまま書いてみました。

この千字文を書くのは随分と久し振りでしたが、これをネタにして色々な練習を繰り返していた頃を思い出して懐かしくなりましたよ(笑)

と同時に、改めて思い返してみると、以前何度も繰り返し書いていたにも関わらず、その字を説文と比較してみる、という最も基本的な手間をかけた事がないという事に気付いてしまいました(笑)


となれば、今回その手間を省くわけにもいきません(苦笑)


1000文字全てに於いて小林氏の千字文の字画字形と説文のそれとを比較検討し、更には清代諸家のものとも照らし合わせ、その上で私なりの千字文を書いてみる事にしました。

準備段階として説文の字画字形との比較検討から始めたわけですが、

いや〜、やっぱり面倒でしたよ(笑)

因みにここで言う説文とは大徐本のいわゆる「一篆一行本」です。


とても単なる思い付きで

「ブログに載せてみよう。」

なんて気軽に言っていられるような話ではありませんでした。

自分自身の為の勉強と思わなければ、とてもではありませんがやっていられませんでしたよ(笑)

尤も、この手の面倒で手間がかかる事というのは、その分だけ自分の為になるのは間違い無いのですが。

篆書を扱う時というのは大抵そんなものなのですが、実際に書くのに要した時間の数倍の時間を準備に費やす事になりました(苦笑)


字画については概ね小林氏のものに準拠させましたが、異なるものも多々含まれています。

説文に無い字についての扱いも、基本的には小林氏のものに従いました。

これらの点についてはその場でいちいち明記していません。


それから、小篆を書いたものを載せただけでは、小篆を知らない人にとっては何という字が書いてあるのかさっぱり分からないわけですが、楷書にしようにもパソコンでは表示出来ない字が頻出するのは目に見えています。

千字文なのですから活字のテキストを入手する事自体に困難は無い筈ですし、本当に興味のある人なら自分で調べて何とかするだろうと考え、敢えて楷書の釈文は付けませんでした。

同様に

「どうしてこの字の小篆がこうなるの?」

と疑問を持たれそうなものについても、自分で調べれば分かる事ですから、敢えて説明は付けませんでした。

私ばっかり勉強になっても仕方無いですし(笑)


字形に関して小林氏のものと異なる点については、先ず、横画の右上がりを抑えた事です。

清代諸家の篆書には横画を右上がりさせたものが少なくありませんが、『泰山刻石』の次に、として考えると、やはり右上がりにしない方が適当だろうとの判断です。

それから最も悩んだのが、例えば「口」のような字形の下部を上に向かって反らせるかどうかです。

これは実際に自分で書いていくと実感出来ると思うのですが、反らせて書く事が上手く出来るようになると、その方が何だか洒落ているような気がしてきて、至るところを反らせて書かないと気が済まなくなってしまいます(苦笑)

分間布白の観点からも、反らせて書く方が理に適っているとも思える場面は少なくありませんし、私自身の好みとしても、反らせた方が好きなのですが、これはそもそもの字画とは関係の無い、全くの装飾的要素です。

ですから今回は涙を飲んで(笑)我慢する事にしました。

同様の反りについては横画全般にも言える話なのですが、これは説文でも所々で見られることから、「やり過ぎない程度に」と自戒しながら概ね反らせて書いています。。


字毎の大きさについては型枠にはめ込んだような均一なものにはしませんでした。

例えばこれを参考に作品を書く場合、全ての文字を同じ大きさや縦横比にしようとするにはこのままでは上手くいかないので、それなりの工夫が必要になってくると思います。


私が今回実際に書いた大きさは半紙に4文字大でしたが、これは単に手持ちのスキャナでの取り込みの都合を考えたからに過ぎません。

皆さんがこれを参考にして書かれるような場合には、半紙4文字大、2文字大、1文字大と色々考えられますが、最小でも4文字大が良いと思います。


筆はごく普通のもので、普段他の書体を書く時にも使っているものです。

「小篆用に特別に。」

などとは考えない方が良いでしょう。

普通の筆で何の問題も無く書けるのですから。


そうそう、もう一つ思い出しました。

横画の逆入についてです。

小林氏のものは、清代諸家に見られるような、逆入のストロークが極めて短いタイプの書き方ですが、私のものも同様です。

但し、余り露骨にそれを感じさせないようにしたつもりです。


一回にアップする字数ですが、色々と準備が面倒なので、とりあえずは10〜20文字程度から始めてみようと思っています。

時によってはもっとたくさん一度にアップ出来るかもしれませんし、もっと少ない時もあるかもしれませんが、あまりのんびりやっているといつまで経っても終わりませんから、出来るだけどんどん進めるように頑張ります。


それにしてもこうやって実際にアップしたものを見てみると、色々と自分の書いたものの欠点が見えてきますね(苦笑)

自分ではもう少し縦長のイメージで書いていたのですが、実際には思っていたよりも横幅が広くなり過ぎてしまいました。

装飾的要素を控え目にとは言うものの、少々淡白過ぎたかな、とも思いますし、余りにも無機的に書き過ぎたかもしれません。

等々、今更気になる点が色々とありますが、まぁ、いいでしょう(笑)


さぁ、ここまであれこれ色々と書いてきましたが、そもそもこのブログの読者の中で小篆に興味を持っている人がどのくらいいるのか、これを機会に興味を持ってくれる人がどのくらいいるのか、さっぱり分かりませんし、見当すらつきません(笑)

さすがに一人もいないという事はないと思うのですが…

本当に一人もいなかったら…やっぱりちょっと淋しいですね(苦笑)

でもまぁ、私自身、今回のこの試みで随分と勉強になりましたから、それで十分なんですが(笑)

自分でもこのブログをきっかけにしてこんなに勉強する事になるなんて、思ってもみませんでしたから(笑)


あ、因みにこんな事を始めたからと言っても、今までどおりの内容の話も勿論続けますからね。

と言うよりも、それらの合間にこれが入る、といった感じになると思いますので。


という事で、小篆千字文、始めますよぉ!

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

「何だか下手な事を書いたら説教されそう・・・」

という方、また、通信添削について御質問のある方は、下記のアドレスまで御意見御質問をお送り下さい。

誹謗中傷を目的としたような常識に反するもの以外、お返事させていただきます。

nonbirishodo@mail.goo.ne.jp


定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。

ラベル:書道
posted by 華亭 at 03:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 小篆千字文について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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