2008年09月27日

手先が器用。その2

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前回は肝心なところで終わってしまいましたので(笑)、早速続きです。


布字の結果ですが・・・


見るまでもありませんよ(笑)

「先生…全然ダメです…目印を付けるまでもありませんでした…」

最初から分かってますって、そんな事。


抱いていた自信が大きく揺らいだ様子でしたが、それでも

「自分は人一倍手先が器用なんだ」

というプライドはまだまだ残っているらしく、

「先生。悔しいので次回までにもう一度やり直してきていいですか。」

と言うので、

「いいですよ。」

と答え、もう一度やり直してきてもらう事になりました。


で、次の稽古になりましたが…


これまた見るまでもありません。

「……先生…やっぱりダメでした…」

分かってますってば(笑)


本人としてはどうしても納得がいかないらしく、もう一度やり直したいと言ったのですが、とにかく一通り最後までやってみてもらいたかったので、そのまま実際に刻する段階に進んでもらいました。

実際に刻すとなると、これはそれこそ布字が上手くいかないどころの話ではありません(苦笑)

本人は最初の自信満々の元気は何処へやら、すっかり意気消沈してしまいました。


今回どうしてこんな話をしたのかというとですね。


書や篆刻なんてものは、手先が器用(と自負している)程度の事など、何の役にも足しにもならない、という事を分かって欲しかったからです。


手先が器用という事なら私も、

「今まで自分よりも器用な人間に会った事がない」

と思っているイヤな人間ですから(笑)、それについては多少の事では負ける気はありません。

しかし、繰り返しますが、そんな事など何の役にも足しにもならないのが、書や篆刻なのです。


と言うか、何も書や篆刻に限った話ではありませんよ。

極めて緻密で微細な細工を施した工芸品を作り出すような職人について、

「凄〜い!こういうの作れる人っていうのは、元々余程器用なんだろうねぇ!」

というような感想を平気で気軽に口にする人がいますが、これはとんでもない大間違いです。


彼等は何十年もの間、自らの技術について絶え間無い研鑽を続けてきたのです。

その研鑽の末に身に付けた人間技とは思えないような技術があったればこそ、初めて可能となる細工なのです。

それなのに、その技術の裏にある気の遠くなるような彼らの積み重ねについて欠片ほどの想像すらしようともせずに、たった一言「器用」などという言葉で済ませるなんて、私に言わせればこんなに失礼な話はありません。


「手先が器用」などという程度で出来る事など、たかが知れていますよ。


以前「向き不向き」の回で、「才能」という言葉について似たような話をしましたが、「器用」という言葉についても同様の事が言えるのです。

「あの人は器用だから。」

なんてセリフを簡単に口にするような人にかぎって、いざ自分がやってみて、ちょっとでも上手くいかないとすぐに

「私は無器用だから」

と言って、自分の努力の無さを誤魔化そうとするものですが、そんな事では何をやっても上達などするわけがありません。


「芸術とは積み重ねではない。飛躍だ。」

これは手島右卿の言葉だったと思いますが、積み重ね無しには飛躍もまたありえない、というのも一方の事実です。

我々のような凡人の進むべき道を考えてみれば、手先が器用であるかどうかなどという短絡的な判断基準に頼ってみたところで、その結果として日々の積み重ねを放棄してしまうだけでしかないのなら、そんなものには何の意味も無いではありませんか。


因みにさっきの篆刻の人ですが、実はここ2ヶ月程来ていません。

どうやら早くも諦めちゃったみたいですね(苦笑)

もっとおだてておけば良かったかなぁ(笑)


自分の手先の器用さに覚えのある方、くれごれも御用心を。

それではまた。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。

ラベル:書道
posted by 華亭 at 03:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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