2008年09月25日

手先が器用

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半年くらい前から、私の教室に篆刻を習いに来るようになった人がいます。

私の教室では入会に際し住所氏名等を記入していただく書類があるのですが、その最後に「備考」という欄があります。

その欄に記入する人はあまりいないのですが、

「来月から宜しくお願いします。」

と言って、入会手続きに来たその人のその欄を見た私はギョッとしました。

その人のその欄にはびっしりと、更には欄外にはみだすまで、何やら長々と書いてあったからです。


「何の話だ?」

と思いながら読み始めたのですが、読み終わった私は

「…こりゃ何とも…強烈だねぇ…」

と、心の中で苦笑いするしかありませんでした。


何が書いてあったかというとですねぇ。



自分は自他共に認める「手先のとても器用な人間」で、これまでにも色々な事を手掛け、その全てをマスターしてきた。

だから篆刻にも絶対の自信がある。

これまでに篆刻の経験は全く無いが、必ず上達してみせるから遠慮せずにドンドン教えて欲しい。


とまぁ、こういった主旨の話です。

凄いでしょ(笑)


言葉面こそもっと丁寧ではありましたが、内容的には一切脚色無し、ホントにこのままだったんですから。

私もこれまでに随分と色々な人を見てきましたが、この人ほど根拠の無い自信に満ち溢れた人は初めてでした。


以前「20年間」の回でお話した人も、教室に来た当初はかなりの自信家でしたが、それでもあの場合は、たとえ実際にはそれが全くのデタラメであったにせよ「20年間やってきた」という自負が生み出した自信でしたから、根拠無しとまでは言えないわけで、まだ話としては分からないわけではありません。

ですがこの場合には、篆刻に関して全く経験が無いにも関わらず、これ程の自信なのですから(苦笑)


つまりは自分の手先の器用さに絶対の自信を持っていて、それを根拠とした話なのでしょうが、そもそもこの人の場合、確かに無器用と言う程ではないにせよ、とてもではありませんが「手先が器用」などと言うには程遠く、それがどうして手先が器用という事にこれ程までの自信を持てるのか、それが全く理解出来ませんでした。

こういう人の場合、このままの調子では私があれこれ言っても素直に聞いてくれそうにもないので(笑)、とにかく私はその人の姓の朱文印から始めてみてもらう事にしました。


「なんで器用じゃないなんて事が始める前から分かるんだ?」

と思いますか?

書類に書いてあったその人の字ですよ。

その字を見る限り、どう見ても手先が器用な人が書いた字には見えなかったのです。


「手先が器用な人が書いた字ってどんな字?」

と思うかもしれませんね。

手先が器用な人が書いた字というのは、その字が書の観点から見た場合にどのなのかという事は別にして、間違い無く、線の最初から最後まで、自分自身の明確な意識の上で引かれています。

分かりやすく言うと、丁寧に引いてあるんです。

絶対にぞんざいに無造作に引いてある事などありません。

特に線の最後の部分はそうですが、手先が器用な人間というのは、それをぞんざいに引いてしまうなんて事が自分で許せないんですね。

線を引くのも手先を使う動作の一つですから、ついつい丁寧に引かずにはいられないんですよ。

その点から見ると、書類の字はお世話にも丁寧に引いた線とは言えないものだったのです。


「だって慌てて書いたかもしれないだろ?」

いえいえ。

入会に際し提出する書類です。

そのようなものを慌てて書くでしょうか?

仮に本当に慌てて書いたのだとしたら尚の事、手先が器用な人間のする事ではないでしょう。

私は「がさつ」と「手先が器用」とは一人の人間に共存出来るような性分ではないと思いますよ。


さて、さっきの話の続きに戻りましょう。

次の月になり、その人が入会してきて最初の稽古の時、今後の手順について一通りの説明をした後、私が実際に布字しておいたものを見せ、

「それを見ながら次回までに自分の石に布字してきて下さい。」

と話しました。

するとその人、私が布字した石をしばし眺めてから、こう言うのです。

「先生。どちらが先生が書いた石か分からなくなるといけませんから、何処かに目印を付けておいていただけませんか?」

つまり、私の布字そっくりそのままに書いてくるから、という事なのだそうです。

これには私もさすがに一瞬言葉を失いましたが(笑)、仕方ないので

「それならここに」

と目印を付けて渡しました。


さて、結果はと言うと…


気になりますか?

なりますよね。

と、気になるところで続きは次回に(笑)


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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。

ラベル:書道
posted by 華亭 at 03:07| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
続きがとっても気になって仕事が手につきません。お早めにPart2をアップしていただけましたらとてもうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
Posted by みほこ at 2008年09月26日 13:40
みほこさん。
コメント有難う御座います。

お待たせして申し訳ありませんでした。

お待たせした割には予想通りの結果でがっかりされたかもしれません(苦笑)

話の途中でアップをサボる癖、良くないですよね(汗)
今後、気を付けます。
Posted by 華亭 at 2008年09月27日 03:38
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