2008年07月08日

覚悟。その4

これまでの記事の一覧はこちらへ
記事の一覧です

通信添削についてはこちらへ
通信添削について』

メールによる御質問はこちらのアドレスへ
nonbirishodo@mail.goo.ne.jp

----------------------------------------------------------

前回は、絶望感の真っ只中にいた私がある日突然、目に映るもの、その全てが、今まで見た事も無い程に美しく見えるようになった、というところまででした。

この時以来、私の中で何かが大きく変わり始めます。


ところが人の感情というのは何ともややこしいもので(苦笑)、この時を境にコロッと変化したというわけでもありませんでした。

どういう事かと言うと、

「世の中ってこんなにキレイだったんだなぁ・・・今まで全然気が付かなかった。でも、せっかく気が付いたのに、これが全部見えなくなるのか・・・」

と、別の方向に酷く落ち込んでしまったからです。


今の私があの頃の自分を見れば

「あ〜、もうっ!いちいち面倒臭い奴だなぁ!何をいつまでもイジイジウダウダしてるんだよ!」

と思いますし、これを読んでる皆さんもそうでしょうが(笑)、当時は何かにつけて凹みまくっていたので仕方ありません。


それでもこの時に感じた

「今まで全然気が付かなかった」

という感覚は、私にとって、病気が判明してからそれまで、苦しみ続けてきた中で最初に見付けた

「病気になったからこそ」

と思う事が出来る点でした。

正直に言えば、素直にそう思えたというのではなく、無理矢理にでも自分に「病気になったからこそ気付く事が出来たんだ」と言い聞かせたという方が妥当でしたが。


まぁ、無理矢理そんな事を自分自身に言い聞かせてみたところで、とにかく思いっ切り凹んでますからね(笑)

そう簡単には元気になどなれません。

用事で外出しても、うつむいたまま、トボトボ歩くのが精一杯です。


ある日、眼科の帰り道でしたが、その時もトボトボ歩いていました。

あの日の空以来、見るもの全ては相変わらず私の目に美しく映っていましたが、その美しさが余計に私を苦しめてもいました。


そんな調子でうつむきながら歩く私の目に、ふと、あるものが映ります。



「・・・ん?・・・」



道端のアスファルトの隙間から顔を出して咲いていた、「雑草」と呼ばれて終わってしまうような、直径2ミリ程の小さな小さな花でした。

私はその花に吸い寄せられるようにそこにしゃがみ込み、顔を近付け、その小さな小さな花をじぃ〜っと眺めました。



「こんなところでも、お前、精一杯頑張って咲いてるんだなぁ・・・・・・こんなにちっちゃいのに、こんな場所で、こんなにキレイに咲いてるよ・・・」


そう思うと、何だかそれだけで涙が出てきました。

そして、その時初めて

「こんなちっぽけな事に気付く事が出来ただけでも、病気になって良かったのかもしれない」

と、素直に思えたのです。


更には、

「病気の事を知る前には見えなかったものが見えるようになった今の自分になら、今までの自分には書けなかった何かが書けるようになるかもしれない。」

と思ったのです。


この瞬間こそが、深く暗く冷たい闇の底から這い上がる為に、私が最初の一歩を踏み出した、少なくとも、踏み出そうとし始めた瞬間でした。



私は覚悟を決めました。


「もしも本当に光を失う事になったとしても、その時まで、俺は自分に出来るだけの事をやる。」


そうです。

書き続ける覚悟を決めたのです。


もしも今ここで本当に筆を置いてしまったとして、10年経った時、運良くまだ見えていたとしたら、俺はその後の人生を「書き続けていれば良かった」と一生後悔したまま生きていく事になる。

もしも本当にあと10年で光を失うとして、その時まで、出来る限りの精一杯の事をしておけば、光を失った後の人生も、何の後悔も無く胸を張って歩き始める事が出来る筈だ。


だから、書けなくなるその日まで、精一杯書き続ける。


これが、私の出した答えでした。



「何だかカッコつけ過ぎじゃない?」

とか言わないで下さいね(笑)

本人にとっては真剣に人生賭けて出した答えだったんですから。



正直に言えば、覚悟が決まったからと言って、この日以来凹む事が無くなったというわけでもありませんし、失明への恐怖が消えてしまったというわけでもありませんでしたが、それでも

「凹んでる暇なんて有るかっ!」

と、自分を叱咤激励出来るようになったのは紛れも無い事実でしたし、立ち止まってしまう事はあっても、後ろを向いてしまう事だけは無くなりました。



因みに、

「キュウリグサ」

これがあの時咲いていた花の名前です。


恐らく周りの通行人は皆、突然しゃがみ込んだ私を

「何だ?何してんだ、こいつ?」

と思ったに違いありませんが(笑)



あの覚悟から10数年。


タイムリミットだと思っていた10年間は、歩き続けているうちに通り過ぎてしまいました。


今も私の目は見えています。

時々思います。

「今の俺をあの時の俺が見たら何て言うだろう?認めてくれるかな?」

と。



今でも凹みそうになると、心が折れそうになると、自分に言い聞かせます。

「あの時の覚悟はどうした?こんな程度のものだったのか?あの時の自分に笑われるぞ!」

と。


あの時の覚悟こそが、今の私を作ってきたのです。

そして、これからの私も。



さて!

これまで数回に亘り、書とは関係の無い私的な内容を書き続けてしまいました。

退屈された方、ごめんなさい。

やっと終わりましたよ〜(笑)


と、言いたいところなのですが(笑)、実は、何でこんな話をここまでダラダラと書いてきたのかという理由を、次回にあと少しだけさせて下さい。

これはちゃんと書に関係した話ですから。


それではまた。

----------------------------------------------------------

初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

「何だか下手な事を書いたら説教されそう・・・」

という方、また、通信添削について御質問のある方は、下記のアドレスまで御意見御質問をお送り下さい。

誹謗中傷を目的としたような常識に反するもの以外、お返事させていただきます。

nonbirishodo@mail.goo.ne.jp


定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。

ラベル:書道
posted by 華亭 at 03:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック