2008年07月06日

覚悟。その3

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前回は、締め切り間近の作品制作に於いて全く書く気が起きないにも関わらず、自分の中から聞こえてくる「書かなきゃダメだよ」という声に抗いきれずに何とか作品を書き上げた、というところまででした。


実は、作品を書いている間は

「どうせ見えなくなるんだ。頑張って書いたって意味が無いだろ」

という思いに意識が集中していたせいか、光を失う事への恐怖というのはあまり感じていませんでした。

その恐怖に押し潰されそうになるのは、作品を書き上げた後からです。

作品を書き上げた途端、私は毎晩のように決まった夢を見るようになりました。



私はいつものように書いています。

ところが、目の前が徐々に暗くなっていき、筆先や自分の書いているものが見えなくなっていくのです。

「何だっ!?見えないぞっ!!??」

と焦りながらも懸命に目を見開いて見ようとする私。

それでもどんどん視界が暗くなり、

「うわぁーーっ!!」

と叫ぶと同時に目が覚めて、と思ったら、目が覚めたはずなのに目の前は真っ暗なまま。

「どうなってんだっ!?ホントにもう見えなくなっちまったのか!?」

と更に焦ってパニックを起こしたような状態で叫んだところで目が覚めて・・・


と、こんな感じでした。


「・・・夢か・・・」

と気付いた時には全身汗びっしょり、心臓はバクバク、頭はガンガン、呼吸はゼェハァ、とこんな調子が毎晩続きました。


毎晩のようにこんな夢を見るうちに、寝る時は部屋の電気を付けっ放しにするようになりました。

夜中に夢にうなされて目が覚めた時、部屋の中が暗いとそれが夢か現かが分からなくなりパニックを起こすようになったからです。

と言うよりも、電気を付けたままでないと眠れなくなってしまったというのが事実ですね。

情けない話ですが、部屋の電気を消しても寝られるようになったのはここ3〜4年の話です(笑)


ひとたび「光を失う」という事への恐怖に苛まれるようになると、目が覚めている間はその恐怖が頭から離れる事は一瞬たりともありません。

何故なら、当たり前の話ですが起きている間はずっと「ものが見えている」のですから、「これがいつの日か見えなくなるのか」という恐怖も、嫌でもずっと一緒に付いて回るからです。

しかも、寝ている時ですら毎晩のように悪夢ですからね(苦笑)


そのうち私は心身ともに疲れ果ててしまいます。

全ての事が馬鹿らしく思えてきて、今思えば随分と自暴自棄にもなりましたし、そんな状態で書く気になどなれるわけもありません。

無理して書いてみたところで、書けば書くほど辛くなります。

「こんな事して何になる?どうせ見えなくなるんだぞ。」

という思いが頭の中をグルグル回り続けるだけでした。



「もう、書なんてやめちまおうかな・・・」


と本気で考えるようになったのはこの頃の事です。


この頃、私はJR新宿駅の雑踏の中で、一人で立ったまま目を閉じてみた事があります。

時間にしたら恐らくほんの2〜30秒間だったのだと思いますが、私はただの一歩どころか、文字通り身動き一つ出来ませんでした。


「俺はこんな世界で生きていくのか・・・」

そう思うと、得体の知れない深く冷たい闇の底に引きずり込まれるような感じがして、気がおかしくなりそうでした。

と同時に、

「筆なんて持ってる場合じゃない・・・」

と思ったのです。

眼科医の先生が言った「光を失った後の人生の準備」を本気で考えなければいけない、そう思いました。


ところが、なのです。

そこまで思っていながらも、私は筆を置くことが出来ません。


何故か?

聞こえ続けていたからです。

あの声が。


「筆を置いちゃダメだ。書かなきゃダメだ。」

というあの声が。


「書いたって意味が無いだろっ!」

と自分自身に繰り返すのですが、それでも声は止みません。



そんな調子で混乱し、困惑し、疲れ果てたまま、日々だけは過ぎていきましたが、そんなある日の事です。

買物の帰り道、私は飛行機の飛ぶ音につられてふと空を見上げたのですが、その時、突然不思議な感覚が私を包みます。


「あれ?・・・空ってこんなにキレイだったっけ?」


今思えば何の変哲も無いいつもの空だったのだと思います。

ですがその時の私にはとてつもなく美しい空に思えました。

私はこの時の空の色を一生忘れないでしょう。


「・・・?」

不思議に思いながら視線を空から戻した時、私は驚愕します。


「!!!?」


私が何を見たのか、恐らく皆さんには分からないでしょうね(笑)

私が見たのはそれこそ何の変哲も無い、八百屋の店頭に並んでいた果物です(笑)


ところが、その何の変哲も無い筈の果物が、これまたとてつもなく美しいものに見えるのです。


私は驚いて辺りを見渡しましたが、目に映るもの、その全てが、今まで見た事も無い程に、美しく見えました。

行き交う人々の顔、服装、車の列、信号、アスファルトや薄汚れたビルの外壁でさえ、美しいものに思えました。

それから家までの帰路、私は今までに感じた事の無い驚きと興奮の中、周りをキョロキョロしながら歩き続けました。



この時以来、私の中で何かが大きく変わり始めます。

何がどう変わり始めたのか、それについては次回に。


*ここ数回、書とは全く関係の無い、余りに私的な話が続いています。

興味の無い皆さんには申し訳ありませんが、なるべく早く終わらせますので、もう暫く御辛抱下さい。

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初めてこのブログを読まれた方へ。

いらっしゃいませ。

あれこれ思いつくままに書いているので、書道独特の専門用語や人名などの固有名詞に関しては、その都度解説を付ける事はしていません。

初心者の方や学び始める以前の方には難解な部分も多かったかもしれませんが、お許し下さい。


「一言書いてみたいんだけど、みんなに読まれてしまうコメントに書くのは何だか気が引ける・・・」

という方や、

「何だか下手な事を書いたら説教されそう・・・」

という方、また、通信添削について御質問のある方は、下記のアドレスまで御意見御質問をお送り下さい。

誹謗中傷を目的としたような常識に反するもの以外、お返事させていただきます。

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定期的にアップ出来ているわけではありませんが(正直言ってサボりがちです)、よろしかったらまた覗きにいらして下さい。

ラベル:書道
posted by 華亭 at 02:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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